こんにちは、阿久梨絵です!
日本語の「ハ行」は一見すると統一された音のように思えますが、実は異なる発音の仕組みを持っています。
特に「 ファ 」と「ハ」は、音の出し方が大きく異なり、歴史的な変化の影響を受けています。
今回は、日本語の音の成り立ちをひも解きながら、「ファ」と「ハ」の違いを探っていきます。
現代日本語の「ハ行」は3種類の音でできている?
実は、現在の「ハヒフヘホ」はすべて同じ音ではありません。
音 | 発音記号 | 音の種類 |
---|---|---|
ハ・ヘ・ホ | [h] | 無声声門摩擦音 |
ヒ | [ç] | 無声硬口蓋摩擦音(「ヒャヒヒュヒェヒョ」) |
フ | [ɸ] | 無声両唇摩擦音(英語の[f]に近い) |
つまり、「フ」だけが唇を使う音で、他の「ハ行」とは発音の仕組みが異なるのです。
「ファ」はどこから来たのか?
「ファ」は、外来語の“f”音を表すために、
「フ」+「ァ(小さいア)」という組み合わせで作られた表記です。
・ファイル(file)= フ([ɸ])+ァ → [fa] に近づける工夫
・フィルム、フェス、フォーク…なども同様
つまり、「ファ」は日本語にない音をカタカナで再現するための拡張音なのです。
「ハ行」の音は昔からこうだったの?
実は違います。
日本語の「ハ行」は、時代とともに音が変化してきたと考えられています。
時代 | 発音 | 音の種類 |
---|---|---|
奈良時代以前 | [p] | 無声両唇破裂音(パ行に近い) |
平安〜中世 | [ɸ] | 無声両唇摩擦音(ファ行に近い) |
江戸時代以降 | [h] | 無声声門摩擦音(現在のハ行) |
つまり、「ハ行」はパ→ファ→ハと変化してきたのです。
その名残が「フ=[ɸ]」という特殊な音に残っているというわけです。
「ファ」と「ハ」の境界線はどこにある?
・「ハ」=[h]:喉から出す摩擦音(息を吐くような音)
・「ファ」=[f]または[ɸ]:唇と歯、または唇同士で摩擦を起こす音
つまり、発音器官の使い方がまったく違うのです。
「ハ」は喉、「ファ」は唇。
この違いが、音としての印象や響きにも影響しています。
まとめ
・「ファ」と「ハ」は似ているようで、音の出し方も、歴史的背景もまったく異なる存在
・「ハ行」は時代とともに変化し、パ→ファ→ハへと移り変わった
・「ファ」は外来語の影響で生まれた拡張音
日本語が外来語を受け入れる中で、カタカナが“音の拡張装置”として進化してきたことがよくわかります。
阿久梨絵でした!