こんにちは、阿久梨絵です。
「ピッ」と会計が終わると同時にスルッと出てくる レシート 。
…と思いきや、くるんと丸まって取りづらい、しかも読みづらい。
地味だけど、なんか気になる。
今回はそんな「 レシート が曲がって出てくる理由」を、印刷方式・感熱紙・設計の都合から解説してみます。
曲がるのは、紙のせい?それとも印刷のせい?
結論から言うと、両方です。
レシートが曲がってしまう主な要因は次の3つ
1. 熱で印刷する「サーマルプリンター」の構造
2. 熱に反応する「感熱紙」の性質
3. 高速印刷・省スペース設計とのトレードオフ
それぞれ詳しく見てみましょう。
サーマルプリンターってどうなってるの?
多くのコンビニや飲食店のレジには、「感熱式サーマルプリンター」が使われています。
・インク不要、ヘッドの熱で紙を“焼いて”印字する
・摩耗が少なく、音も静かでスピードも出る
・用紙は“感熱紙”と呼ばれる、特殊コーティングされた紙
この“熱で印字する”という仕組みが、曲がりの原因の第一歩なんです。
感熱紙は、熱と湿度にとても敏感
感熱紙の表面には、熱に反応して色が変わる特殊な薬剤が塗られています。
その結果
・片面だけ高温で加熱されると、紙がそちら側に反ろうとする
・湿度や乾燥によっても、紙の厚みやカール具合が変わる
・巻きロールの形状も、巻きクセの一因に
つまり、「片面だけ熱しながら高速排出する」=くるんと曲がるレシートが生まれるのです。
なぜ改善されないの?設計的な理由もある
もちろん、各メーカーも“まっすぐ出したい”とは思っています。
でも、そこには設計上のジレンマがあるんです。
・レジは省スペースが命。プリンター機構も最小限にしたい
・印刷スピードとのバランスで、“冷ます時間”がとれない
・紙送りのベルトや排出ガイドを入れると故障リスク・コストが上がる
こうして、「多少曲がっても、読み取れるし支障はない」設計判断がされているわけです。
実は“ちょっとした折り返し”で曲がらないこともある
最近の一部POS端末では
・紙の出口に“軽く押さえるガイドローラー”をつけていたり
・印刷と排出のタイミングをわずかにずらしていたり
・あえてレシートの先端を一瞬“留める”機構を持たせていたり
…と、見た目以上に繊細な工夫が込められているものもあります。
まとめ
レシート が曲がって出てくる理由は、
・熱と紙の特性
・設計の制約と優先順位
・“不満ではないけど好かれてはいない”UXのグレーゾーン
にあります。
でも、こういう「不満になりきらない不快さ」こそが、
ブランド体験の“チリつも”になる時代でもあります。
「ここ、意外と快適だな」
そんな小さな体験が、日々の中で残るような設計をしていきたいですね。
阿久梨絵でした!
