こんにちは、阿久梨絵です!
「 パスワード は12文字以上で、記号も混ぜてください」
「定期的に変更してください」
──このようなセキュリティルール、社内でもよく見かけますよね。
でも、それだけで本当に安全でしょうか?
近年のサイバー攻撃は、単なるパスワード突破を超えて、複数の経路・複数の層を狙ってくるようになっています。
今回は、企業が今こそ見直すべき「多層セキュリティ」の考え方と、設計のポイントを解説します。
パスワード強度の限界とは?
もちろん、強いパスワードは重要です。
しかし、以下のような現実もあります。
・社員が同じパスワードを複数サービスで使い回す
・フィッシングで本人が自ら入力してしまう
・パスワードが強くても、端末が乗っ取られれば意味がない
つまり、パスワード単体では防げない攻撃が増えているのです。
Hive Systemsの調査によれば、8文字の複雑なパスワードでも、数分で解読される可能性がある。
多層セキュリティとは何か?
多層セキュリティ(Defense in Depth)とは、複数の防御層を設けて、攻撃の突破を困難にする設計思想です。
NTTドコモによると、主に以下の3層で構成されます。
| 層 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 入口対策 | 外部からの侵入を防ぐ | ファイアウォール、ウイルス対策、IDS/IPS |
| 内部対策 | 侵入後の拡散を防ぐ | ログ監視、データ暗号化、EDR |
| 出口対策 | 情報の持ち出しを防ぐ | プロキシ制御、WAF、サンドボックス型検知 |
このように、単一の防御ではなく、複数の視点から守る構造が重要です。
設計のポイント:UXと制度のバランス
セキュリティ設計は、“使いにくさ”との戦いでもあります。
強固すぎるルールは、現場で回避され、逆にリスクを生むことも。
設計のコツ
・パスワード+多要素認証(MFA)を標準化
・アクセス権限の最小化(Zero Trustの考え方)
・社内ネットワークを“安全前提”にしない
・ログイン履歴・操作履歴の可視化で“気づける設計”に
・教育と啓発を制度化し、「なぜ必要か」を伝える
まとめ
「強い パスワード を設定しているから安心」──それは、もはや幻想です。
今求められるのは、構造的に守る設計。
入口・内部・出口の3層を意識し、“突破されても被害を最小限に抑える”仕組みを持つこと。
セキュリティは、技術だけでなく、制度・UX・現場の運用が支えるもの。
その再設計が、企業の信頼と持続性を守る鍵になります。
阿久梨絵でした!
