EXCEL のLET関数で複雑な式をスマートに整理しよう

こんにちは、阿久梨絵です!
EXCEL で複雑な計算式を書いていると、「同じ処理を何度も繰り返していて読みにくい」「パフォーマンスが悪い」と感じることはありませんか?
そんなときに役立つのが LET 関数です。この記事では、LET の基本構造から、実務での活用シーンまでをわかりやすく解説します。

LET関数とは?

LET 関数は、数式の中で変数を定義して使える関数です。これにより、同じ計算を繰り返す必要がなくなり、数式が読みやすく、処理も高速になります。

LET(名前1, 値1, 名前2, 値2, …, 式)

名前:変数名(任意の識別子)
:変数に代入する値や式
:定義した変数を使って計算する式

基本例:繰り返し計算の整理

例えば、(A1 + A2) * (A1 + A2) を計算したい場合

=LET(x, A1 + A2, x * x)

x に A1 + A2 を代入し、x * x を計算
同じ計算を繰り返さず、式がすっきり!

業務でLET関数が役立つシーンと計算例

1. 売上に応じた割引計算

シーン:売上金額に応じて割引率を変える
課題:同じ売上金額を何度も参照していて式が長い

LET活用

=LET(
売上, A2,
割引率, IF(売上 > 100000, 0.1, 0.05),
割引後金額, 売上 * (1 – 割引率),
割引後金額
)

売上や割引率を変数化することで、式が読みやすくなる

2. 残業時間に応じた手当計算

シーン:残業時間が一定以上なら割増率を変更
課題:条件分岐が複雑で式が読みにくい

LET活用

=LET(
残業, B2,
基本時給, 1500,
割増率, IF(残業 > 20, 1.5, 1.25),
手当, 残業 * 基本時給 * 割増率,
手当
)

変数でロジックを整理し、保守性アップ

3. 複数条件による評価判定

シーン:売上・顧客満足度・納期遵守率などを総合評価
課題:複数のIFやANDが絡み、式が煩雑

LET活用

=LET(
売上, C2,
満足度, D2,
納期率, E2,
評価, IF(AND(売上 > 100000, 満足度 >= 90, 納期率 >= 95), “優秀”, “要改善”),
評価
)

変数で各指標を明示し、ロジックが一目でわかる

4. 複雑な税計算や控除処理

シーン:所得に応じた段階的な税率や控除額の計算
課題:ネストが深くなりがち

LET活用

=LET(
所得, F2,
基礎控除, 480000,
課税所得, MAX(0, 所得 – 基礎控除),
税率, IF(課税所得 > 1000000, 0.2, 0.1),
税額, 課税所得 * 税率,
税額
)

複数ステップを変数で分割し、計算の流れが明確に

複数変数のネストも可能

複雑なロジックも、変数を段階的に定義することで可読性が向上します。

=LET(
x, A1,
y, A2,
z, x + y,
z * 2
)

→ x と y を定義し、z に合計を代入
→ 最終的に z * 2 を返す

パフォーマンス向上の理由

・同じ計算を繰り返さないため、EXCELの再計算が高速化
・特に 大規模なスプレッドシート では効果が大きい
読みやすさと保守性 が向上し、チームでの作業にも有利

注意点

・LET 関数は EXCEL 365 / EXCEL 2021 以降で利用可能
変数名は 英数字や日本語でもOK(ただし予約語は避ける)
最後の引数が「返す式」になる点に注意(変数だけでは終われない)

まとめ

特徴説明
同じ値を何度も使う変数化で繰り返しを削減
条件分岐が多いロジックを分割して整理
可読性が重要チームでの共有や保守がしやすくなる
パフォーマンスが気になる再計算の効率が向上

LET 関数は、 EXCEL の数式をよりスマートに、効率的に書くための強力なツールです。特に、繰り返し処理や複雑なロジックを扱う場面では、可読性とパフォーマンスの両面で大きなメリットがあります。まだ使ったことがない方は、ぜひ一度試してみてください!
阿久梨絵でした!

Verified by MonsterInsights