WPA3 の登場でWi‑Fiはどう変わるのか。技術的進化を徹底解説

こんにちは、阿久梨絵です!
Wi‑Fiは、いまや電気・水道と同じレベルの“生活インフラ”になりました。
その根っこを支えているのが、「暗号化」と「認証」というセキュリティ技術です。

WEP → WPA → WPA2 と進化してきたWi‑Fiセキュリティは、
WPA3 の登場で大きな転換点を迎えました。

この記事では、
WPA3って何が変わったの?」を
技術的なポイントに踏み込みつつ、できるだけやさしく解説していきます。

WPA3とは何か ― WPA2の“限界”を超えるための新標準

WPA3は、Wi‑Fiの暗号化・認証方式の最新規格で、
WPA2の構造的な弱点を潰すために設計された次世代標準です。

大きな進化ポイントはこのあたりです。

パスワード推測攻撃への耐性強化(SAE)
パスワードなしWi‑Fiでも暗号化を実現(OWE)
企業向けの強固な暗号スイート(WPA3‑Enterprise)
WPA2との共存を前提にした移行設計

ここからは、それぞれを技術寄りの視点で見ていきます。

1. 「SAE」でパスワード推測攻撃がほぼ不可能に

WPA3‑Personalの心臓部ともいえるのが、
SAE(Simultaneous Authentication of Equals) という新しい認証方式です。

WPA2の問題点:オフライン辞書攻撃

WPA2では、
ハンドシェイク(接続時のやりとり)をキャプチャされると
攻撃者はそのデータを持ち帰り
自分のPC上で、好きなだけパスワード候補を試せる

という 「オフライン辞書攻撃」 が可能でした。

パスワードが
短い
単純
ありがちな単語
であればあるほど、突破されるリスクが高かったわけです。

WPA3の解決策:毎回“対話”が必要な認証

SAEでは、
パスワード検証のたびにアクセスポイントとのリアルタイムなやりとりが必要になります。

ハンドシェイクをキャプチャしても
→ それだけではパスワードを試せない
パスワード候補を試すには
毎回アクセスポイントと通信する必要がある

つまり、
「オフラインで何万回も試す」という攻撃が事実上不可能になります。

その結果、
短めのパスフレーズでも
WPA2時代よりはるかに安全性が高い

という状態を実現しています(もちろん、強いパスフレーズを使うに越したことはありません)。

2. OWEで「パスワードなしWi‑Fi」でも暗号化

カフェや駅、空港などのフリーWi‑Fiは、
「パスワードなし=暗号化なし」が当たり前でした。

その結果、同じWi‑Fiにいる人から
通信内容を盗み見られる
セッションを乗っ取られる
といったリスクが常に存在していました。

WPA3で導入されたOWE(Opportunistic Wireless Encryption)

OWEは、
パスワードなしでもクライアントごとに暗号化を行う仕組みです。

ユーザーは従来どおり「パスワードなしWi‑Fi」に接続している感覚
・しかし内部では、
→ アクセスポイントと端末の間で鍵交換が行われ
→ その端末専用の暗号化セッションが張られる

これにより、
同じWi‑Fiにいる他人からの盗み見が大幅に困難になります。

「フリーWi‑Fi=危険」が、
フリーWi‑Fi=ある程度は守られる」へと変わっていく転換点が、ここです。

3. WPA3‑Enterpriseで企業向けセキュリティが強化

家庭向けがWPA3‑Personalなら、
企業・組織向けは WPA3‑Enterprise です。

ここでは特に、
192ビット暗号スイート がポイントになります。

192ビットレベルの暗号強度
政府機関・金融機関レベルのセキュリティ要件を想定
EAP(拡張認証プロトコル)と組み合わせて、厳格な認証を実現

一般家庭ではあまり意識することはありませんが、
社内Wi‑Fiが破られる=会社の中枢が丸見え」 という時代において、
この強化は非常に重要です。

4. WPA2との共存 ― 一気に切り替えられない現実への配慮

WPA3は理想的ですが、
現実には すべての端末が一気に対応することは不可能 です。

そのため、多くのルーターは
WPA2/WPA3混在モード」 を備えています。

新しい端末
WPA3で接続
・古い端末
→ WPA2で接続

これにより、
既存環境を壊さず
対応端末から少しずつWPA3へ移行

という“ソフトランディング”が可能になっています。

5. WPA3にも「現実的な制約」はある

技術的には魅力的なWPA3ですが、
導入にあたってはいくつかの現実的なポイントもあります。

古い端末は非対応のまま

2018年以前のスマホ・PC・IoT機器などは
WPA3非対応のものが多い
ファームウェア更新で対応するケースもあるが
すべての機器が救われるわけではない

ルーターの買い替えが必要

WPA3は
ハードウェアレベルでの対応が前提のため、
古いWi‑Fiルーターでは利用できません

「WPA3対応」と明記されたルーターへの買い替えが必要
・ついでにメッシュWi‑FiやWi‑Fi 6/6Eへの移行を検討するのも現実的な選択肢

まとめ

WPA3 の登場で、Wi‑Fiはこう変わります。

SAEにより、パスワード推測攻撃がほぼ不可能な設計へ
OWEにより、フリーWi‑Fiでも暗号化が当たり前に
WPA3‑Enterpriseで、企業ネットワークの防御力が大幅強化
WPA2との共存設計で、現実的な移行が可能

WPA3は、
単なる「WPA2のマイナーチェンジ」ではなく、
Wi‑Fiセキュリティの前提そのものを作り直した規格と言えます。

もしあなたが
ルーターの買い替えを検討している
これから数年使い続けるネットワーク環境を整えたい

というタイミングにいるなら、
WPA3対応かどうか」 は、
チェックしておいて損のない重要なポイントです。
阿久梨絵でした!

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