Python に“null”がない理由、知ってますか?

こんにちは、阿久梨絵です!
プログラミングを学び始めたとき、他の言語で見かけた「null」という言葉。
JavaScriptでも、Javaでも、SQLでも、何かが「存在しない」状態を表すのに使われています。

でも、 Python では「null」が使えません
代わりに出てくるのが「None」というキーワード。

value = None

え、nullじゃないの?
Noneって何者?
そう思った人も多いはずです。

でも実は、Pythonに“null”がないのは、ちゃんとした理由があるんです。

Pythonが「None」を選んだ理由

1. 明示的で読みやすい

Pythonは「読みやすさ」をとても大切にする言語です。
その哲学は「The Zen of Python(Pythonの格言)」にも表れています。

Explicit is better than implicit.(明示は暗黙に勝る)

「null」は多くの言語で“特別な値”として扱われますが、
Pythonでは「None」という明示的なオブジェクトを使うことで、
「これは“何もない”という意味です」と、はっきり伝えることができます。

2. Noneは“型”を持つオブジェクト

PythonのNoneは、NoneTypeという専用の型を持つオブジェクトです。

type(None) # <class ‘NoneType’>

つまり、Noneはただの「空っぽ」ではなく、“何もない”という意味を持った存在
これは、Pythonの「すべてがオブジェクト」という設計思想にも合っています。

3. nullとNoneを混在させないため

もしPythonに「null」も「None」も両方あったら
「どっちを使えばいいの?」と混乱する人が続出します。

Pythonはあえて「None」だけにすることで、選択肢を減らし、迷いをなくしているんです。
これは初心者にとっても、実はとてもやさしい設計です。

よくある誤解:「Pythonでも“null”って書けるんでしょ?」

Pythonでは「null」というキーワードは定義されていないため、
このコードを実行すると NameError(名前が定義されていません)というエラーが出ます。
Pythonで“何もない”を表したいときは、必ず None を使います。

value = None # 正しい書き方

「null」は他の言語の表現。
Pythonでは“None”が唯一の“何もない”の表現なんです。

まとめ

Python に「null」がないのは、決して機能が足りないからではありません。
むしろ、「迷わせない」「読みやすい」「一貫性がある
そんなPythonらしい“やさしさ”の表れなんです。

だからこそ、Pythonを学ぶときは、
「Noneって何?」ではなく「Noneってありがたいな」と思えるようになると、
きっともっとこの言語が好きになりますよ。
阿久梨絵でした!

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