「 JR は分割で安くなるのに、私鉄はなぜダメ?」──運賃設計の“思想の違い”を解剖する

こんにちは、阿久梨絵です!
鉄道ファンや節約派の間で語られる「運賃分割テクニック」
たとえば、JRで横浜から東京に行くとき、蒲田で運賃を分割すると安くなる──そんな話を聞いたことはありませんか?
でも、同じようなことを私鉄でやろうとしても、まったく効果がない
この記事では、 JR と私鉄で運賃分割が通用する/しない理由を、運賃体系とUX設計の視点から解説します。

結論:JRは“営業キロ制”、私鉄は“区間制”だから

JRの運賃は、営業キロ(距離)に応じて計算される
私鉄の運賃は、区間ごとに設定された“運賃テーブル”で計算される
この違いが、分割乗車の有効性を左右する

JRは「距離ベース」、私鉄は「区間ベース」──運賃の“考え方”が違う

JRで分割すると安くなる理由

例:横浜 → 東京(JR東日本)

通常:横浜→東京(直通)= 490円
分割:横浜→蒲田+蒲田→東京=合計で460円(230円×2)になることも

なぜ安くなる?

要因内容
営業キロの境界JRは距離に応じて“段階的に運賃が上がる”
分割ポイント境界駅で分割すると、それぞれの区間が“安い運賃帯”に収まる
IC運賃の丸めSuicaなどのIC運賃は、1円単位で計算されるため、分割で得することがある

JRは「距離をどう切るか」で運賃が変わる──それが“分割テクニック”の本質

私鉄ではなぜ通用しないのか?

例:小田急・京急・東急など

・運賃は「駅ごとの区間設定」で決まっている
・たとえば「A駅→B駅=200円」「B駅→C駅=200円」でも、「A駅→C駅=390円」など、分割しても高くなることが多い

理由は?

要因内容
区間制私鉄は「駅間ごとに固定運賃」が設定されている
分割非対応分割しても、それぞれの区間運賃が加算されるだけ
IC運賃の一括処理SuicaやPASMOでは、分割乗車が自動的に認識されない

私鉄は「乗った区間ごとに払う」──分割しても“損するだけ”の設計

UX設計としての“運賃の思想”

視点JR私鉄
設計思想全国共通の営業キロ制独自の区間運賃制
利用者層長距離・乗り継ぎ前提通勤・短距離中心
UX設計柔軟だが複雑シンプルだが固定的
分割乗車有効な場合あり原則無効

JRは「距離と経路を選ぶUX」私鉄は「区間と速さを選ぶUX」

まとめ

JR で運賃分割が効くのは、営業キロ制という柔軟な設計思想があるから。
私鉄で効かないのは、区間制というシンプルで固定的な設計思想があるから。
それは、乗車体験の違いだけでなく、“運賃とUXの設計思想”の違いでもあるのです。

弊社では、こうした“見えにくいけれど確かな設計思想”にも光を当てながら、
安心感と納得感のある交通体験の再発見を探っていきます。
阿久梨絵でした!

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