数字がざわつく── iPhone スクリーンタイムが揺らすUXの正体

こんにちは、阿久梨絵です。
iPhone の「スクリーンタイム」、見ていますか?

今週の平均使用時間は5時間12分です
先週より12%増加しています
──ただの数字のはずなのに、なぜか胸がざわつく。
使いすぎたかも」「何に時間を使ってたんだろう」──そんな感情の揺れが生まれます。

今回は、スクリーンタイムという機能が持つ“感情の設計”について、UXと心理の交差点から読み解いてみます。

スクリーンタイムは“記録”ではなく“鏡”

スクリーンタイムは、単なる使用時間の記録ではありません
それは、自分の行動を“見える化”することで、感情を揺らす設計です。

1. 「数字」が“自己評価”に変わる

・「平均5時間」→「使いすぎ?
・「SNSが3時間」→「何してたんだっけ?
数字が、“自分をどう思うか”の材料になる

UXにおいて“見える化”は、自己との対話を生む。

2. “比較”が感情を動かす

・「先週より12%増加」→「悪化してる?
・「平均より多い」→「自分だけ?
→ 他者との比較ではなく、“過去の自分”との比較が不安を生む

“数字の変化”が、“感情の変化”に直結するUX

3. “カテゴリ別表示”が罪悪感を細分化する

・SNS/ゲーム/仕事/読書──
・「SNSが多い」「仕事が少ない」など、時間の使い方が“意味づけ”される

“何に使ったか”が、“どう生きたか”に変換される瞬間

なぜ違和感や不安が生まれるのか?

「見える化」が“評価”に変わるから

・本来は中立な記録なのに、数字が“良い/悪い”の判断材料になる
・「使いすぎた」「無駄だった」など、自己否定につながることも

UXが“行動の記録”から“感情の評価”に変わるとき、違和感が生まれる

「変化」が“改善圧”になるから
・「先週より増えた」→「減らさなきゃ」
・「通知が多い」→「集中できてない?」
数字が、“行動を変えるべき”という圧力になる

“見える化”が、“変えなきゃ”に変わると、UXが不安になる。

UX的に安心を設計するには?

1. “数字の意味”を選べるようにする

・「記録として見る」「振り返りとして見る」「改善のヒントとして見る」など、ユーザーが意味づけを選べる設計

2. “変化”を肯定的に見せる

・「先週より増えました」ではなく、「読書時間が増えました」「集中時間が伸びました」など、ポジティブな変化に焦点を当てる

3. “使い方の傾向”を感情と結びつける

・「夜にSNSが多い」→「疲れてるときに癒しを求めてる?」など、行動の背景に感情を添える設計

UXは、“数字を見せる”だけでなく、“気持ちを整える”ことでもある。

まとめ

iPhone のスクリーンタイムは、
ただの使用時間の記録ではありません。
それは、自分の行動を見える化することで、感情を揺らす設計です。

「使いすぎたかも」「何に時間を使ってたんだろう」──
その違和感は、数字が“自己評価”に変わる瞬間に生まれます。

だからこそ、スクリーンタイムをどう見せるかは、
UXの安心設計そのもの

数字を見せるだけでなく、
その数字が“自分を責める材料”にならないように──
気持ちを整える設計”が、これからのUXに求められているのかもしれません。
阿久梨絵でした!

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