こんにちは、阿久梨絵です!
「とりあえず PDF にして送っておきました」
「資料はPDFで共有済みです」
──このようなやりとり、社内でも日常的に行われていませんか?
PDFは確かに便利です。レイアウトが崩れず、誰でも開けて、印刷にも強い。
でもその“万能感”が、業務の流れを止める原因になっていることもあるのです。
今回は、PDFが業務を止める理由と、ファイル形式と共有UXの再設計による改善策を考察します。
なぜ“とりあえずPDF”が業務を止めるのか?
1. 編集できない
・内容を修正したいのに、元データが手元にない
・PDFからのコピー&ペーストでレイアウトが崩れる
・結局、再作成や再依頼が発生する
2. 情報が“閉じて”しまう
・PDFは“完成形”として扱われ、議論や追記がしづらい
・コメントやフィードバックが別チャネルに分散し、履歴が残らない
・複数人での同時編集ができず、更新のたびに再送が必要
3. ファイル管理が煩雑になる
・バージョン管理が手動(v1、v2、final、final_final…)
・どれが最新版か分からず、誤って古い資料を使うリスク
・PDFがメール・チャット・クラウドに散らばり、探すのに時間がかかる
4. UXが“受け身”になる
・PDFは「読むだけ」の形式であり、業務の流れに参加できない
・情報が一方通行になり、意思決定や作業が止まる
ファイル形式と共有UXの再設計ステップ
1. ファイル形式を“目的別”に使い分ける
| 目的 | 推奨形式 | 理由 |
|---|---|---|
| 編集・共同作業 | Google Docs / Word / Excel | 同時編集・履歴管理・コメント機能が充実 |
| 確定版・配布用 | レイアウト固定・印刷対応・改変防止 | |
| 進捗・議論 | Notion / Wiki / チャット | 非同期共有・履歴残し・柔軟な更新が可能 |
「とりあえずPDF」ではなく、「何のために共有するか」で形式を選ぶ
2. 共有導線を“業務フローに組み込む”
・ファイルはチャットで送るだけでなく、業務ツールと連携させる
・例:Slackで共有 → Notionにリンク → Google Driveで編集履歴を管理
・共有先・通知方法・更新タイミングを明文化する
ファイルは“流す”のではなく、“つなぐ”設計にする
3. バージョン管理を“仕組み化”する
・ファイル名に日付・目的・担当者を含める(例:2025-09-08_提案書_営業部)
・クラウド上で履歴を残すことで、最新版の自動判別が可能
・PDFは「確定版」としてのみ保存し、編集は元データで行う
「final_final.pdf」から卒業する
4. コメント・フィードバックの“流れ”を設計する
・PDFにコメントするのではなく、元ファイルに直接書き込む文化を育てる
・チャットでのフィードバックは、必ずファイルと紐づける
・コメント履歴を残すことで、意思決定の透明性と再現性が高まる
情報は“閉じる”のではなく、“開いて流す”ことで業務が進む
まとめ
PDF そのものが悪いわけではありません。
問題は、「とりあえず」で使われること。
それは、情報の流れ・業務の目的・共有の設計が曖昧であることの表れです。
ファイル形式は、業務のUXそのもの。
その選び方と流し方を見直すことで、業務のスピード・精度・納得感が大きく変わります。
“とりあえず”をやめて、“目的に沿った設計”へ。
それが、止まっていた業務を動かす第一歩です。
阿久梨絵でした!
