iPhone の“戻るボタンがない”違和感──UX設計の思想とは

こんにちは、阿久梨絵です!
iPhone を使っていて、「あれ、戻るボタンどこ?」と戸惑ったこと、ありませんか?

Androidでは画面下に「←」があるのに、iPhoneにはそれがない
この“戻れない感覚”は、単なる操作の違いではなく、UX設計の思想の違いから生まれています。

今回は、iPhoneに戻るボタンがない理由と、それが生む“違和感”の正体を探ります。

なぜiPhoneには戻るボタンがないのか?

Appleは、iPhoneのUX設計において「物理的なボタンを減らす」ことを重視してきました。
その背景には、以下のような思想があります。

1. コンテンツ中心主義

ユーザーの視線を「画面の中身」に集中させるため、操作系は最小限に
・戻る操作も、画面内のUI(左上の「<」など)やジェスチャーで完結させる設計

2. ジェスチャー重視の設計

・iOS 13以降、画面端からのスワイプで「戻る」が可能に
指の動き=直感的操作という思想が根底にある

3. “戻る”の意味を文脈で変える

アプリによって「戻る」の挙動が違う(前の画面/前のステップ/前のカテゴリなど)
物理ボタンではなく、文脈に応じた戻り方を設計することで、柔軟性を持たせている

“戻る”という行為を、固定されたボタンではなく“流れの中の選択”に変えたのがiPhoneのUX

それでも感じる“違和感”の正体

・「戻りたいのに、どこを押せばいいかわからない
・「ジェスチャーが効かないとき、操作に迷う
・「アプリごとに戻る場所が違って、混乱する

この違和感は、“安心して戻れる”という感覚が欠けていることから生まれます。
Androidの戻るボタンは、「いつでも逃げられる」安心感を提供していたのです。

UXにおける“戻る”は、操作ではなく“安心の設計”でもある。

iPhoneで“戻る安心”を得るためのヒント

① ジェスチャー操作を習慣化する

画面左端から右にスワイプ戻る
・Safariや設定画面など、多くの純正アプリで有効

② アプリごとの戻る位置を把握する

左上の「<」が基本だが、右上や画面下にある場合も
・一度迷ったら、そのアプリの戻り方を覚えておくと安心

③ “戻る”がない設計に備える

一部のアプリでは「戻る」が存在しない(例:ホーム画面に戻るしかない)
・その場合は、ホームボタンやスワイプでアプリを閉じることが“戻る”になる

“戻る”は、画面遷移だけでなく“気持ちのリセット”でもある。

まとめ

iPhone に戻るボタンがないのは、設計思想の違い
でも、ユーザーが感じる「戻れない不安」は、UXの見落としでもあります。

“戻る”という行為は、ただの操作ではなく、
「今の状態から抜け出せる」安心感の象徴

その安心を、ジェスチャーやUIでどう設計するか──
それが、iPhoneのUXにおける“静かな課題”なのかもしれません。
阿久梨絵でした!

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