こんにちは、阿久梨絵です。
ITプロジェクトの現場では、こんな言葉が日常的に飛び交います。
「とりあえず最低限で」
「この金額で何ができる?」
「UIは後回しでいいよね?」
一見、合理的に聞こえるこれらの言葉。
しかしその瞬間、UX品質は予算によって“切り捨てられて”います。
そして、ユーザーの信頼もまた、静かに失われていくのです。
本記事では、 IT予算設計 における“見えにくい損失”──UXの崩壊と信頼の毀損──について、構造的に整理します。
「安くていいもの」が成立しない理由を、設計・心理・運用の観点から紐解きながら、予算に“何を含めるべきか”を明らかにしていきます。
予算と品質のねじれ構造:なぜ“安くていいもの”は成立しないのか?
| 予算設計の盲点 | 現場で起きること | UX的損失 |
|---|---|---|
| UI/UXが“オプション扱い” | 機能優先で体験設計が後回し | 使いづらさが定着し、離脱率が上がる |
| “最低限”の見積もり文化 | 設計・検証・改善の工程が削られる | ユーザーの期待値と実体験が乖離 |
| 短期成果主義 | リリース優先でUX評価が未実施 | 継続利用されないプロダクトになる |
| 信頼設計の軽視 | 安心・納得・共感の要素が省略される | 「使いたくない」感情が生まれる |
UX品質を削ると、信頼も削られる
UXとは、単なる“使いやすさ”ではない。
それは、ユーザーとの信頼関係を築く設計領域だ。
・予算不足 → 設計不足 → 不信感
・検証不足 → 誤操作 → 苛立ち
・改善余地なし → 離脱 →ブランド毀損
つまり、予算設計の段階でUXが軽視されると、信頼設計も崩壊する。
UX視点で見る予算設計の再構築
UX品質は、後から足すものではなく、最初から予算に組み込むべき“設計コスト”である。
| 設計項目 | 予算に含めるべき理由 | 期待される効果 |
|---|---|---|
| UXリサーチ | ユーザー文脈の理解 | 無駄な機能の削減/共感設計 |
| プロトタイプ検証 | 使い勝手の事前確認 | 手戻り防止/初期離脱率の低下 |
| 情報設計 | 認知負荷の軽減 | スムーズな導線/満足度向上 |
| 継続的改善枠 | リリース後のUX調整 | 長期的な信頼構築/定着率向上 |
まとめ
IT 予算設計において、
「最低限で」「とりあえず動けば」
という発想は、UXと信頼を犠牲にする構造的な失敗だ。
「安くていいもの」は存在しない。
存在するのは、“安く見せて、後で高くつくもの”だけだ。
UXは、最初から予算に組み込むべき“信頼の設計費”である。
それを削った瞬間、ユーザーは離れ、プロダクトは忘れられる。
阿久梨絵でした!
