こんにちは、阿久梨絵です!
「このモジュールは触らないで」
「仕様が分からないけど、動いてるから放置で」
「直したら他が壊れるかも」
そんな言葉が日常化している現場は、すでに 技術的負債 に支配されている。
そしてその負債は、UX改善を阻む“心理的障壁”として機能してしまう。
技術的負債の構造:なぜ放置されるのか?
| 原因 | 現場で起きること | 心理的影響 |
|---|---|---|
| 短期優先の開発 | とりあえず動くコードが量産される | 「いつか直す」が常態化し、改善意欲が低下 |
| 属人化・ドキュメント不足 | 特定の人しか理解できない領域が増える | 触ること自体が心理的リスクになる |
| 保守コストの軽視 | 改修提案が却下される/予算がつかない | 「改善しても評価されない」という徒労感 |
| UXより納期が優先 | 設計が後回し/UIが場当たり的に | ユーザー体験が犠牲になり、信頼が損なわれる |
UX改善を阻む“保守恐怖”の正体
技術的負債は、単なるコードの問題ではない。
それは、心理的安全性を破壊する構造的な障壁でもある。
・触ると壊れるかもしれない → 改善提案が出なくなる
・誰も責任を取りたがらない → UX改善が宙に浮く
・負債が可視化されていない → 問題意識が共有されない
・“動いてるからOK”という文化 → UXの質が停滞する
UX視点で見る技術的負債の心理的コスト
UX設計とは、ユーザー体験だけでなく、開発者体験(DX)も含めた設計であるべき。
技術的負債が放置されると、以下のようなUX的損失が生まれる。
| UX要素 | 負債による影響 | 組織的リスク |
|---|---|---|
| 継続的改善 | 改修が困難になり、改善が止まる | プロダクトの陳腐化 |
| 信頼性 | バグ修正が遅れ、ユーザー離れ | 顧客満足度の低下 |
| 一貫性 | UI・設計がバラバラになる | ブランド毀損 |
| 心理的安全性 | 「触るな」の空気が蔓延 | チームの創造性が失われる |
解決のヒント:負債を“見える化”し、UX設計に組み込む
・負債リストの作成:技術的・UX的負債を可視化し、優先順位をつける
・改善予算の確保:「使われるUX」への投資として位置づける
・心理的安全性の設計:触っても責められない文化を育てる
・“負債返済”を評価軸に:改善行動を報酬化する仕組み
まとめ
技術的負債 は、コードの問題ではなく、
組織の信頼設計と心理的安全性の問題でもある。
「動いているからいい」ではなく、
「触れるようにすることが信頼につながる」
その視点がなければ、
UXは改善されず、組織は静かに腐っていく。
阿久梨絵でした!
