こんにちは、阿久梨絵です!
RAID(Redundant Array of Independent Disks)は、複数のハードディスクを組み合わせて、「速さ」や「安全性」を高める技術です。
中でもRAID 5は、「1台壊れてもデータは守れる」という安心感から、
企業や個人のストレージ環境で広く使われています。
でも、“絶対に守れる”わけではありません。
この記事では、RAID 5の仕組みと、その限界をやさしく見える化していきます。
RAID 5の仕組み:パリティで守る
RAID 5は、最低3台のディスクを使って、
・データを分散して保存
・さらに「パリティ(誤り訂正情報)」を別のディスクに分散して保存
このパリティのおかげで、1台のディスクが壊れても、残りのディスク+パリティで復元できるのが特徴です。
例:3台のディスクで保存する場合
| ディスク1 | ディスク2 | ディスク3(パリティ) |
|---|---|---|
| データA | データB | AとBのパリティ情報 |
なぜ“絶対”じゃないの?
① 2台以上が同時に壊れたら復元できない
・RAID 5は1台までの故障にしか対応できない
・復旧中に別のディスクが壊れると、データは失われる
② パリティ情報も壊れることがある
・パリティもディスク上のデータなので、書き込みエラーや不整合が起きることも
・定期的なチェック(スクラブ)をしていないと、気づかないまま壊れていることもある
③ RAID自体がバックアップではない
・RAIDは可用性(壊れてもすぐ使える)を高める仕組みであって、
過去の状態に戻す・誤操作を防ぐものではない
RAID 5の“安心の限界”を見える化
| 項目 | RAID 5で守れる | 守れない |
|---|---|---|
| 1台の故障 | ✅ 復元可能 | ― |
| 2台以上の故障 | ❌ 復元不可 | データ消失 |
| 誤操作(削除など) | ❌ 復元不可 | RAIDは履歴を持たない |
| ランサムウェア感染 | ❌ 復元不可 | RAIDはウイルス対策ではない |
| 過去の状態に戻す | ❌ 復元不可 | バックアップが必要 |
本当に安心したいなら?
・RAIDとは別にバックアップを取る(外部ストレージ・クラウドなど)
・SMART情報などでディスクの健康状態を定期チェック
・RAID構成の復旧手順を事前に確認しておく
・RAID 6やRAID 10など、より冗長性の高い構成を検討する
まとめ
RAID 5は、1台の故障に備える“技術的な安心”をくれる仕組みです。
でも、人の操作ミス・複数故障・ウイルス感染など、
“技術の外側”にあるリスクには対応できません。
本当の安心は、「RAIDがあるから大丈夫」ではなく、
「RAIDの限界を知って、補う設計ができている」こと。
このページが、そんな“安心の設計”を考えるきっかけになればうれしいです。
阿久梨絵でした!
