IT業界と 36協定 ──守られない現場と、マネージャーの“質”という根本原因

こんにちは、阿久梨絵です!
36協定 (サブロク協定)」は、労働基準法第36条に基づき、法定労働時間を超える残業や休日労働を行うために必要な労使協定です。
しかし、IT業界ではこの協定が形骸化しているケースが少なくありません。特にプロジェクト単位で動く現場では、長時間労働が常態化し、協定の存在すら意識されていないことも。

その背景には、マネージャー層の“質”の問題が深く関わっています。

36協定が守られない理由

1. マネージャーが「労務管理者」ではない

IT業界のマネージャーは、技術的なリーダーや進捗管理者としての役割が強く、労働時間や健康管理への意識が希薄です。
納期に間に合わせる」「クライアント対応を優先する」──その結果、部下の残業時間や休日出勤が把握されていないまま進行するプロジェクトが多発します。

2. 管理監督者の誤認

労働基準法では「管理監督者」は36協定の対象外ですが、役職名が“課長”や“部長”だからといって対象外になるわけではありません。
実際には裁量がなく、出退勤も会社に管理されているのに、誤って管理監督者として扱われているケースが多く、これが違法労働の温床になっています。

3. 現場任せの文化

IT業界では「現場がなんとかする」という文化が根強く、労務管理が人事部や経営層に届かない構造になりがちです。
特に客先常駐やSES契約では、派遣元と派遣先の責任が曖昧になり、36協定の遵守が形だけになることも。

マネージャーの“質”が問われる理由

労務知識の欠如:36協定の内容や法定労働時間の上限を知らないまま、部下に無制限の残業を指示する。
人材管理より技術偏重:技術力や納期管理に偏り、メンタルヘルスやワークライフバランスへの配慮が不足。
責任感のすり替え:「自己責任」「やる気が足りない」といった精神論で、構造的な問題を個人に押しつける。

改善へのヒント

課題改善策
労務知識の不足マネージャー向けの労働法研修を義務化
管理監督者の誤認人事部による役職と法的立場の再評価
労働時間の可視化勤怠システムの導入と、月次レビューの実施
現場任せの文化経営層が労務管理をKPIに組み込む

まとめ

IT業界における 36協定 の形骸化は、単なる制度の問題ではなく、マネージャーの質と意識の問題です。
技術力だけでなく、人を守る力を持ったマネージャーが育つことこそが、業界全体の健全化につながります。

「守られていない」のではなく、「守る意志がない」──その現実に、今こそ向き合うべきではないでしょうか。
阿久梨絵でした!

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