こんにちは、阿久梨絵です!
「このデータ、アーカイブしておいてください」
「 バックアップ から復元できます」
──どちらもよく使われる言葉ですが、ITの文脈では目的も意味もまったく違うこと、ご存じですか?
今回は、IT系でよく使われる「 バックアップ 」と「アーカイブ」の違いについて、
実務・UX・感情設計の視点から、安心して使い分けできるように解説します。
「バックアップ」とは?──“復元するためのコピー”
「バックアップ」は、万が一のためにデータを複製しておく操作です。
目的は明確で、障害・誤操作・消失などに備えて、元の状態に戻せるようにすることです。
使い方の例
・システム障害に備えてバックアップを取る
・毎日自動でバックアップされる設定
・バックアップから復元する
ニュアンスのポイント
・バックアップ=復元前提のコピー
・「バックアップがあるから安心」という感情設計に直結
・英語では「backup」「restore」がセットで使われる
「アーカイブ」とは?──“保存しておくための記録”
「アーカイブ」は、長期保存・記録・参照のためにデータを保管する操作です。
目的は、復元ではなく、履歴や証拠として残しておくことです。
使い方の例
・古いメールをアーカイブする
・プロジェクト完了後、成果物をアーカイブする
・アーカイブされたログを参照する
ニュアンスのポイント
・アーカイブ=保存用。復元前提ではない
・「アーカイブから復元」は誤用。アーカイブは“しまっておく”もの
・英語では「archive」「store」「preserve」が近い
よくある誤用と違和感
| 誤用しやすい表現 | 正しい使い方 | 解説 |
|---|---|---|
| アーカイブから復元する | バックアップから復元する | アーカイブは保存目的。復元はバックアップの役割 |
| バックアップしておけば記録になる | アーカイブしておけば記録になる | バックアップは復元用。記録保存はアーカイブが適切 |
| アーカイブを削除すると復元できない | バックアップを削除すると復元できない | アーカイブはそもそも復元用ではないため誤解を招く |
感情設計の視点:目的の違いが“安心感”を左右する
・「バックアップ」は、不安に備える安心の言葉
→ 「復元できる」「守られている」という感情を支える
・「アーカイブ」は、記録を残すための静かな言葉
→ 「あとで見返せる」「証拠として残る」という感情を支える
だからこそ、UIやマニュアル・記事では、目的に応じて言葉を選ぶことが重要です。
まとめ
| 項目 | バックアップ | アーカイブ |
|---|---|---|
| 意味 | 復元のためのコピー | 保存・記録のための保管 |
| 用途 | 障害対策、誤操作防止 | 履歴保存、参照、証拠管理 |
| 英語 | backup / restore | archive / preserve |
| UX設計 | 安心して復元できる印象 | 静かに残しておける印象 |
「バックアップ」は、未来の不安に備える言葉。
「アーカイブ」は、過去の記録を守る言葉。
この違いを知っておくことで、
UI設計・マニュアル・記事執筆において、読者の安心感と信頼感を守ることができます。
阿久梨絵でした!
