こんにちは、阿久梨絵です!
「このファイル、保管しておいてください」
「 保存 しましたので、いつでも開けます」
──どちらもよく聞く言葉ですが、ITの文脈では意味がまったく違うこと、ご存じですか?
今回は、IT系でよく使われる「 保存 」と「保管」の違いについて、
実務・UX・感情設計の視点から、安心して使い分けできるように解説します。
「保存」とは?──データを“記録する”行為
「保存」は、データを記録し、再利用できるようにする操作です。
ファイルを編集したあとに「保存する」、画像を「保存する」、メールを「保存する」など、ITでは最も基本的な操作のひとつです。
使い方の例
・編集したドキュメントを保存する
・スクリーンショットを保存する
・設定を保存して、次回も同じ状態にする
ニュアンスのポイント
・保存=デジタル上で記録すること
・「保存する」ことで、ファイルが消えずに残る状態になる
・英語では「save」「store」が近い
「保管」とは?──モノを“しまっておく”行為
「保管」は、物理的なものを安全にしまっておくことを意味します。
書類を棚に保管する、荷物を倉庫に保管する──ITではあまり使われない表現です。
使い方の例
・書類を金庫に保管する
・荷物を一時的に保管する
・USBメモリを保管しておく
ニュアンスのポイント
・保管=物理的な管理・保護のニュアンス
・デジタルファイルに対して使うと、やや不自然に感じられる
・英語では「keep」「store」「preserve」などが近いが、文脈依存
よくある誤用と違和感
| 誤用しやすい表現 | 正しい使い方 | 解説 |
|---|---|---|
| ファイルを保管する | ファイルを保存する | デジタル操作なので「保存」が自然 |
| 画像を保管しておいて | 画像を保存しておいて | 「保管」は物理的なニュアンスが強すぎる |
| 保管ボタンを押す | 保存ボタンを押す | UI設計では「保存」が一般的。保管は違和感あり |
感情設計の視点:言葉のズレが“安心感”を損なうことも
・「保管」という言葉は、物理的・防御的なニュアンスが強く、デジタル操作に使うと、“しまい込む”ような印象を受けることがあります。
・「保存」は、記録・再利用・安心して残すという意味があり、“ちゃんと残る”という安心感を得られるのです。
言葉の選び方ひとつで、操作への信頼感や不安感が大きく変わります。
まとめ
| 項目 | 保存 | 保管 |
|---|---|---|
| 意味 | データを記録する | モノをしまっておく |
| 用途 | ファイル操作、設定、画像など | 書類、荷物、物理的な管理 |
| 英語 | save / store | keep / preserve |
| UX設計 | 安心して残す操作 | しまい込む印象を与えることも |
「 保存 」は、記録と再利用のための言葉。
「保管」は、守るためにしまっておく言葉。
この違いを知っておくことで、
UI設計・マニュアル・記事執筆において、読者の安心感と信頼感を守ることができます。
阿久梨絵でした!
