こんにちは、阿久梨絵です!
中国語を調べていて、「 簡体字 」と「繁体字」の違いに戸惑ったこと、ありませんか?
Webで調べた駅名が、現地の券売機の路線図に載っていない。
漢字は似ているのに、“読めない・見つからない”という違和感が生まれる。
それは、文字の構造と文化のすれ違いから起こるUXの揺れです。
今回は、簡体字と繁体字の違い、日本での使い分け、そして上海の地下鉄で起きた驚きの体験を通して、“文字の選び方がUXに与える影響”を読み解いてみます。
簡体字と繁体字──同じ中国語、違う文字体系
| 項目 | 簡体字 | 繁体字 |
|---|---|---|
| 使用地域 | 中国本土・シンガポール | 台湾・香港・マカオ |
| 特徴 | 画数が少なく、簡略化された漢字 | 伝統的な形を保った複雑な漢字 |
| 例 | 学习(学習)・电话(電話) | 學習・電話 |
| 成り立ち | 1950年代以降、中国政府が簡略化 | 古代からの漢字体系を維持 |
| 読み方・意味 | 基本的に同じ | 基本的に同じ(ただし一部異なる語彙あり) |
“見た目”は違っても、“意味”はほぼ同じ。でも、UXは大きく変わる。
日本で起こる“文字のすれ違い”
日本のWeb検索では繁体字が出てくることがある
・日本語の漢字に近いのは繁体字(例:学習=學習)
・そのため、日本語で検索すると繁体字の情報がヒットしやすい
現地では簡体字しか使われていない
・中国本土(上海・北京など)では、券売機・看板・路線図すべてが簡体字
・Webで調べた駅名が、現地の表示と一致しないことがある
“調べた通りに見えない”ことが、UXの不安につながる。
上海の地下鉄で起きた驚き──“駅が消えた”感覚
ある日、日本で「上海 地下鉄 路線図」と検索。
出てきた路線図PDFをもとに駅名を調べていました。
でも、現地の券売機では、該当する駅名が路線図に表示されていない。
「調べた駅が、券売機に載ってない」
「漢字は似ているのに、違う」
──そんな、“駅が消えたような違和感”が生まれました。
実際の体験として、出発前にWeb検索で見つけたのは「漢中路」(地下鉄1号線)。
ところが現地では、「汉中路」と簡体字で表記されており、
一瞬、“駅が見つからない”という不安に襲われました。
辛うじて、後ろ2文字が一致していたことと、上海駅との位置関係から、
なんとか乗車券の購入には至りましたが──
“調べた通りに見えない”ことが、UXの揺らぎになると痛感した瞬間でした。
日本ではどちらを使うのが正しい?
基本は「簡体字」が正解(中国本土向けなら)
・中国本土(上海・北京など)を対象にするなら、簡体字を使うのが正しい
・Web検索・翻訳・地図アプリも、簡体字での表記が一致しやすい
台湾・香港向けなら「繁体字」
・台湾の文化・商品・観光情報などは、繁体字が基本
“どこに向けて書くか”で、文字の選び方が変わる。
まとめ
簡体字 と繁体字は、
同じ中国語という言語の中にある、文化・歴史・政治のレイヤー。
日本語に近いのは繁体字。
でも、現地で使われているのは簡体字。
その違いが、“調べた通りに見えない”というUXの不安を生みます。
だからこそ、
・調べるときは「簡体字」で検索する
・表示するときは「対象地域に合わせた文字体系を選ぶ」
・そして、「違いがあることを前提に設計する」
それが、“言葉のすれ違いを整えるUX”なのかもしれません。
阿久梨絵でした!
