こんにちは、阿久梨絵です！
「単純作業は RPA （Robotic Process Automation）で自動化しよう」──そんな掛け声とともに、社内に導入されたRPA。
しかし現場からはこんな声が聞こえてきます。
「結局、エラー対応で手作業が増えた」
「ロボットが止まって、誰も直せない」
「自動化したはずなのに、業務が複雑になった気がする」
RPAは業務効率化の強力なツールですが、設計と運用を誤ると“逆に面倒”になるリスクもあります。
今回は、RPA導入でよくある落とし穴と、それを防ぐ設計のコツを解説します。
落とし穴1：業務選定ミス──「RPAに向いてない仕事」を任せてしまう
RPAは「ルールが明確で、例外の少ない定型業務」に向いています。
しかし、実際には以下のような“向いてない業務”に使われてしまうことがあります。
・表記ゆれや例外処理が多いメール対応
・人間の判断が必要な請求書の仕分け
・外部サイトの仕様変更に左右されるデータ取得
こうした業務は、RPAが止まる・誤動作する・エラー対応が発生するなど、かえって手間が増える原因になります。
設計のコツ
・自動化候補の業務は「手順書化できるか？」を基準に選定
・例外処理は人間が介在する“ハイブリッド設計”にする
・最初は短くてシンプルな業務から始める
落とし穴2：現場を巻き込まない──“使えないロボット”が生まれる
RPA導入が情報システム部門だけで進むと、現場の実態とズレた設計になりがちです。
・暗黙のルール（例：特定取引先だけ別処理）が反映されていない
・実務担当者が操作方法を知らない
・エラー時の対応フローが現場に共有されていない
結果として、「使えない」「結局手作業に戻った」という事態に。
設計のコツ
・業務担当者を初期段階から巻き込む
・ヒアリングで“例外パターン”を洗い出す
・操作マニュアル・エラー対応フローを整備する
落とし穴3：メンテナンス体制がない──“野良ロボット化”の危険
RPAは「作って終わり」ではありません。
Webサイトの仕様変更、アプリのアップデート、ファイル名の変更など、ちょっとした変化で止まることがあります。
・担当者が退職・異動して誰も直せない
・外注したロボットの仕様がブラックボックス化
・エラーが放置され、業務に支障が出る
こうした“野良ロボット化”は、業務停止・情報漏洩・再構築コスト増などのリスクを招きます。
設計のコツ
・メンテナンス担当者を明確に決めておく
・エラー検知・通知機能を組み込む
・定期的なレビュー・改善サイクルを設ける
まとめ
RPA は「何でもできる魔法の杖」ではなく、指示されたことを忠実にこなす“デジタル新人社員”です。
だからこそ、設計・教育・運用体制が整っていなければ、期待した成果は得られません。
導入前に業務を見直し、現場と連携し、育てる体制をつくること。
それが、RPAを“面倒”から“戦力”に変える第一歩です。
阿久梨絵でした！
