こんにちは、阿久梨絵です!
業務改善 を進めようとすると、まずは「業務フローを整理しましょう」「手順書を整備しましょう」といった話になりがちです。
しかし、実際に改善の鍵を握っているのは、現場の“肌感覚”や“言語化されていない知恵”だったりします。
今回は、業務改善の出発点として重要な「現場ヒアリング」の設計と実践例を紹介します。
なぜ“現場の言語”が必要なのか?
業務改善は、単なる効率化ではありません。
現場の実態に即した設計でなければ、定着せず、むしろ混乱を招くこともあります。
Excelの数値やフロー図だけでは見えない課題
・「この作業、Aさんしかできない」
・「マニュアル通りだと逆に遅くなる」
・「この申請、実は毎回“裏ルール”がある」
こうした“現場の言語”を拾い上げることで、属人化の正体や改善余地が見えてきます。
ヒアリング設計のステップ
1. 目的を明確にする
例:「月末の売上報告処理を短縮したい」「請求書のミスを減らしたい」
目的が曖昧なまま「何か困ってますか?」と聞いても、具体的な課題は出てきません。
業務領域と改善目標を先に定義することで、質問設計がブレなくなります。
2. 質問設計:オープンとクローズドの使い分け
| 質問タイプ | 例 | 目的 |
|---|---|---|
| オープン質問 | 「この工程で困っている点は?」 | 本音や気づきを引き出す |
| クローズド質問 | 「この作業は毎日発生しますか?」 | 事実確認・定量化 |
5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どうやって)を意識すると、網羅性が高まります。
3. 対象者の選定:キーパーソン+多視点
・属人化が強い業務の担当者
・ベテランと新人の両方
・異なる部署との接点がある人
「その人しか知らないやり方」や「新人だからこそ気づく違和感」を拾うために、視点の多様性が重要です。
4. 実施形式:個別 vs グループヒアリング
| 形式 | 向いているケース |
|---|---|
| 個別 | 本音・ノウハウ・デリケートな話題 |
| グループ | 共通課題の洗い出し・意見交換 |
状況に応じて使い分けることで、深さと広がりの両方を確保できます。
実践例:月末の売上報告業務の改善
背景
毎月末、営業部がExcelで売上を集計 → 管理部が再入力 → 経理部が転記して報告書作成。
3部署で手作業が重複し、ミスも多発。
ヒアリングで判明したこと
・営業部のExcelは個人ごとにフォーマットが違う
・管理部は「数字が合わない」と毎回電話確認
・経理部は「報告書の体裁調整」に1日かかっていた
改善策
・営業部の入力フォームを統一(Googleフォーム化)
・自動集計+チェックルールを導入
・報告書テンプレートを整備し、体裁調整を不要に
→ 月末作業が2日短縮、ミスも激減。
ヒアリングがなければ、属人化の構造は見えていませんでした。
まとめ
業務改善 の本質は、現場の違和感を拾い上げ、それを設計に変えることです。
ヒアリングはその第一歩であり、単なる情報収集ではなく、信頼と共感をベースにした対話の技術でもあります。
「現場の言語」を聞き取る力が、業務改善の質を決める。
その設計と実践が、組織の未来を静かに変えていきます。
阿久梨絵でした!
