こんにちは、阿久梨絵です!
クレジットカードの表面に埋め込まれた金色の小さな四角形、それが「 ICチップ (Integrated Circuit)」です。
このチップには、暗号化されたカード情報が記録されており、従来の磁気ストライプよりも格段に高いセキュリティ性能を持っています。
ICチップの役割と仕組み
ICチップの主な役割は以下の通りです。
本人確認の強化
・暗証番号(PIN)による認証が基本。サインよりも安全性が高く、偽造リスクを大幅に低減します。
情報の暗号化保存
・カード番号、有効期限などの情報を暗号化して保存。不正読み取り(スキミング)への耐性が非常に高い。
国際標準のEMV規格に準拠
・Europay・Mastercard・Visaが定めた規格により、世界中の端末で安全に利用可能。
端末との相互認証
・決済時にはカードと端末が動的な暗号データをやり取りし、不正利用を防止します。
ICチップに格納されているデータとは?
ICチップは、単なる「記録媒体」ではなく、動的に情報を生成・やり取りする小さなコンピュータです。
その内部には、以下のような多層的な情報が格納されています。
基本情報(静的データ)
・カード番号(PAN)
・有効期限
・サービスコード(IC対応かどうかなどを示す3桁のコード)
・発行会社の識別情報
・セキュリティコード(iCVV)※磁気ストライプとは異なるIC専用コード
取引ごとに生成される動的データ
ARQC(暗号化リクエストコード)
・決済ごとに生成される一回限りの認証コード。スキミングやリプレイ攻撃に強い。
ATC(Application Transaction Counter)
・カード内での取引回数を記録。異常な取引パターンの検出にも活用。
発行元の公開鍵・証明書
・端末がカードの正当性を検証するために使用。
その他の補助情報
Track2 Equivalent Data(磁気ストライプ互換情報)
・一部端末との互換性を保つため、磁気情報をICから読み取る。
国内仕様の企業コード(Tag DF4Fなど)
・日本独自の加盟店識別などに使われる領域。
磁気ストライプとの違い
| 項目 | ICチップ付きカード | 磁気ストライプカード |
|---|---|---|
| 情報保存 | 暗号化・多層構造 | 平文・単層構造 |
| 認証方法 | PIN入力 | サイン |
| セキュリティ | 高い | 低い |
| スキミング耐性 | 非常に強い | 弱い |
| 偽造難易度 | 極めて高い | 比較的容易 |
なぜIC化が進んだのか?
日本では2018年の割賦販売法改正をきっかけに、加盟店にIC対応端末の導入が義務化されました。
海外ではすでにIC化が進んでおり、磁気カードが使えないケースも。
ICチップの導入により、イギリスでは偽造カード被害が約70%減少したという統計もあります。
UX視点でのメリット
・スムーズな決済体験:PIN入力で即決済。サイン不要でレジ待ち時間も短縮。
・安心感のある利用:盗難・紛失時もPINがあることで不正利用されにくい。
・非接触型決済との親和性:NFC技術によるタッチ決済にも対応し、利便性が向上。
注意点とメンテナンス
・チップ部分に傷や汚れがあると読み取りエラーが起きることも。
→ メガネ拭きなどの柔らかい布で優しく拭くのがベスト。
・強い磁気を発するもの(スマホの磁石付きケースなど)には近づけないように。
まとめ
ICチップ は、現代のキャッシュレス社会を支えるセキュリティの要であり、UXの観点からも「安心・スムーズ・信頼」を提供する重要な要素です。
日々の生活で何気なく使っているクレジットカードにも、こうした技術が詰まっていることを知ると、少しだけ世界が広がるかもしれません。
阿久梨絵でした!
