こんにちは、阿久梨絵です!
WordやGoogle Docs、ブログエディタ、AIによる文章生成──現代の文書作成は、もはや“印刷”を前提としないデジタル中心の世界です。
そんな中で、文字の間違いを「 誤植 」と呼ぶのは、ちょっと違和感がありませんか?
今回はこの「誤植」という言葉が、現代の文書環境に合っているのか?を、言葉の由来とUX設計の視点から考えてみます。
「誤植」の本来の意味とは?
「誤植」とは、もともと活版印刷の“植字”作業で文字を間違えることを指す言葉です。
・活字(文字のハンコ)を並べる作業=植字
・その植字を誤る=誤植
つまり、「誤植」は印刷工程の中で起こる物理的なミスだったのです。
現代の文書作成ではどうか?
現代の文書作成は、以下のような環境で行われます。
・キーボード入力(タイプミス)
・変換ミス(誤変換)
・自動補完の暴走
・AIによる生成ミス
・DTPやWebでのレイアウト崩れ
これらは、植字という工程を経ていないため、厳密には「誤植」とは言えません。
本来ならば「誤記」「誤字」「誤変換」「ミスタイプ」などが適切です。
それでも「誤植」が使われる理由
それでも「誤植」という言葉は、今も広く使われています。
その理由は
・出版文化の名残:編集・校正の世界では今も「誤植」が通用する
・認知の簡便さ:「誤植」と言えば“文字の間違い”とすぐ伝わる
・ネットスラング化:SNSやブログで「誤植すみません」は定番表現
つまり、「誤植」は本来の意味からズレているけれど、通じやすい言葉として定着しているのです。
UX設計の視点から見る“言葉のズレ”
UX設計では、「ユーザーがどう受け取るか」が最優先です。
その意味で、「誤植」という言葉は“誤用だけど、伝達効率が高い”という不思議な存在。
・正確さを重視する場面 → 「誤記」「誤字」「誤変換」などを使うべき
・共感や軽さを重視する場面 → 「誤植」が便利
このように、文脈によって言葉を使い分ける設計感覚が求められます。
まとめ
「 誤植 」という言葉は、もはや印刷工程を超えて、“文字の間違い全般”を指す言葉として文化的に定着しています。
でも、文書設計や情報発信の場では、言葉の精度と文脈のバランスが重要。
・正確に伝えたいとき → 「誤記」「誤字」「誤変換」などを選ぶ
・わかりやすく伝えたいとき → 「誤植」も選択肢のひとつ
言葉の使い方も、UX設計の一部。
“伝わる”と“正しい”の間で、納得感のある選択をしていきたいですね。
阿久梨絵でした!
