こんにちは、阿久梨絵です!
パソコンのウィンドウ右上に並ぶ3つの アイコン ──「最小化」「最大化/復元」「閉じる」。
その中でも、真ん中のアイコン(重なった四角)を“コピー”と勘違いしたこと、ありませんか?
実はこのアイコン、UI設計における「認知バイアス」が生む紛らわしさの代表例です。
今回はこの違和感を言語化し、なぜ誤解が生まれるのか、どうすれば防げるのかを考えてみます。
まずは整理:アイコンの意味と機能
以下は、代表的なウィンドウ操作アイコンの意味と、よくある誤解をまとめた表です。
| アイコン | 見た目 | 本来の機能 | よくある誤解 |
|---|---|---|---|
| ▭(最小化) | 横棒 | ウィンドウをタスクバーにしまう | 正しく認識されやすい |
| ◻◻(最大化/復元) | 重なった四角 | ウィンドウサイズの切り替え | コピーと誤認されがち |
| ✕(閉じる) | バツ印 | ウィンドウを閉じる | 明確で誤解されにくい |
なぜ“コピー”と間違えるのか?
1. アイコンの形が“複製”を連想させる
・重なった四角は、ファイルや画像の「コピー」アイコンと酷似
・特にスマホやWebアプリでは「コピー=重なった紙」表現が一般的
2. ラベルがないため意味が伝わりにくい
・アイコン単体では機能が分かりづらく、初見ユーザーは推測に頼る
・ツールチップ(ホバー時の説明)がなければ誤操作の原因に
3. 文脈が変わると意味も変わる
・同じアイコンでも、アプリによって“コピー”や“複製”に使われることがある
→ ユーザーの“過去の経験”が誤認を誘発
UI設計の観点から見る“紛らわしさ”
この問題は、アイコン設計における「意味の曖昧さ」が原因です。
UI設計では、以下のような原則が重要になります。
| 設計原則 | 目的 | 実装例 |
|---|---|---|
| アイコン+ラベルの併用 | 初回利用者に意味を伝える | 「最大化」などの文字を添える |
| 一貫性のある意味設計 | 認知の安定化 | 他の画面でも同じアイコン=同じ機能に統一 |
| ツールチップの活用 | ホバー時の補足説明 | title="ウィンドウを最大化" |
| ユーザーテストの実施 | 誤認の検証 | 「このアイコン、何だと思いますか?」という質問で確認 |
まとめ
ウィンドウ右上の「最大化/復元」 アイコン が“コピー”と誤認される現象は、
単なる操作ミスではなく、認知バイアスと文脈依存性が生むUI設計上の課題です。
この違和感を放置すると、以下のようなUXリスクにつながります。
・誤操作によるストレスや混乱
・ユーザーの自己効力感の低下
・サポート問い合わせの増加や学習コストの上昇
だからこそ、UI設計者は「誤解される余地があるかもしれない」という前提で設計する必要があります。
「なんとなく使いづらい」を「なるほど、こういうことか」に変える──それが、UX設計者としての私の役割です。
阿久梨絵でした!
