災害時、 公衆電話 がつながりやすい理由──“忘れられた構造”が守る命

こんにちは、阿久梨絵です!
今回は「災害時、 公衆電話 がつながりやすいのはなぜか?」という問いに、通信インフラの構造と心理的安心の視点から静かに答えてみます。

なぜ携帯電話はつながりにくくなるのか?

災害が発生すると、人々は家族や知人の安否確認のために一斉に電話をかけます
このとき、携帯電話や固定電話には通信量の急激な増加=“輻輳(ふくそう)”が起こります

・通常の通信量の50〜60倍になることもあり、通信会社はネットワーク保護のために接続規制を実施します
・一般回線は制限され、警察・消防などの優先通信が確保される構造になっています

つまり、携帯電話がつながらないのは、壊れないように守るための“意図的な制限”なのです。

公衆電話がつながりやすい理由

では、なぜ公衆電話はつながるのでしょうか?
その理由は、通信インフラの“優先設計”と“公共性”にあります。

通信規制の対象外

公衆電話は、通信会社の規制対象から外れているため、災害時でも接続制限を受けにくい

回線が占有されにくい

利用者が少ないため、通信量が集中せず、回線が安定している

優先通信扱い

・NTTが設置する公衆電話は、災害時の“優先通信”として扱われることがある

電源不要・物理的に強い

一部の公衆電話は停電時でも使える設計になっており、災害時に強い通信手段として機能する

忘れられた構造が“命を守る”

携帯電話が主流になった今、公衆電話は街から姿を消しつつあります
しかし、災害時には“忘れられた構造”が最も頼れる存在になる──これは、UX設計にも通じる深い教訓です。

“使われない”ことと“使えない”ことは違う。
公衆電話は、非常時にこそ機能する“静かなインフラ”です。

まとめ

自宅や職場、避難所周辺の公衆電話の位置を確認しておく
使い方を定期的に思い出す(硬貨の準備も忘れずに)
災害時の通信手段として、公衆電話を選択肢に入れておく
子どもや若い世代に、公衆電話の使い方を教えておく(実際に使ってみる体験が有効)

公衆電話 は、ただ残っているだけでは意味がありません。
それが“使える”ためには、使い方を知っている人がいることが必要です。
今の子どもたちは、スマホが当たり前の世代。
「受話器を取る」「硬貨を入れる」「ダイヤルする」──この一連の動作は、もはや“知らない構造”になりつつあります。

災害時に命を守るのは、構造そのものではなく、それを使える人の存在です。
公衆電話という“静かなインフラ”を、次の世代にそっと手渡していくこと──それもまた、UX設計のひとつなのかもしれません。
阿久梨絵でした!

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