クラウド とAIのハイプ・サイクル(日本版)──“期待”と“現実”のギャップを読む力

こんにちは、阿久梨絵です!
2025年8月、Gartnerが「日本における クラウド とAIのハイプ・サイクル:2025年」を発表しました。
このレポートは、国内企業がAIやクラウド技術をどう受け止め、どう導入しているかを“成熟度”という軸で可視化したもの。

今回はこのハイプ・サイクルを読み解きながら、AIとクラウドの“今どきの立ち位置”をUX設計者の視点で整理してみます。

ハイプ・サイクルとは?

Gartnerのハイプ・サイクルは、技術の「期待度」と「実用性」のギャップを5段階で示すフレームワーク

段階意味
黎明期技術は登場したばかり。まだ実用化されていない
過度な期待のピーク期メディアや業界が騒ぎすぎて、期待が膨らみすぎている
幻滅期実際に使ってみると課題が多く、失望され始める
啓発期現実的な使い方が見えてきて、再評価される
生産性の安定期実務に定着し、安定して使われるようになる

今回の注目技術:AIとクラウドの“温度差”

AI技術:急成長と過熱の両面

技術現在の位置づけ
AIエージェント過度な期待のピーク期(使い方がまだ曖昧)
マルチエージェント黎明期(理論はあるが実装はこれから)
RAG(検索拡張生成)幻滅期(精度に課題あり)
LLMプラットフォーム啓発期(用途が明確になりつつある)

AIは“使える”技術になりつつある一方で、過剰な期待が先行している領域も多く、冷静な見極めが必要です。

クラウド技術:成熟しているのに使われていない?

技術現在の位置づけ
FinOps(クラウドコスト管理)生産性の安定期
IaC(コードとしてのインフラ)幻滅期(運用が難しい)
分散クラウド啓発期(導入が進みつつある)
サービスとしてのベアメタル(BMaaS)生産性の安定期

クラウドは登場から20年近く経っているにもかかわらず、国内では“使いこなせていない”企業が多いのが現状です。

UX設計者としての読み方

このハイプ・サイクルは、単なる技術トレンドではなく「UX設計の地図」としても使えます。

視点意味
過度な期待の技術UIや導線設計で“できそう感”を煽りすぎないことが重要
幻滅期の技術実装時の“がっかり体験”を防ぐための補助設計が必要
生産期の技術安定性・信頼性を前提にしたUX設計が可能になる

UXは“技術の成熟度”に合わせて設計すべき
ハイプ・サイクルはその“温度感”を測るツールになります。

まとめ

AIも クラウド も、もはや“新しい技術”ではありません
でも、導入のタイミングや使い方を間違えると、UXは崩れ、ユーザーの信頼も失われます

Gartnerのハイプ・サイクルは、技術の“期待と現実”を見極めるためのコンパス
UX設計者こそが、この地図を読み解き、ユーザーにとって最適な体験を描くべきなのです。
阿久梨絵でした!

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