こんにちは、阿久梨絵です!
先日、 携帯電話 会社の請求明細に「388,783円 → -388,783円」という表示を見かけました。
実際の支払額は0円ですが、明細上では一度高額請求された後に全額割引されるという構造になっていました。
このような表示は、ユーザーにとって「意味がわからない」「不安になる」と感じるものですが、業界的には“正しい”とされています。
なぜこのような料金表示が生まれるのでしょうか。そして、それはユーザー体験として許容されるものなのでしょうか。

なぜ「388,783円」が表示されるのでしょうか?
多くの通信事業者では、定額プランを提供する際に、通信料を一度従量課金ベースで計算したうえで、同額を割引として表示する仕組みを採用しています。
たとえば今回のケースでは
・通信料:5183781Pkt × 0.075円 = 388,783円
・割引:定額プラン対象通信分 → -388,783円
・実質支払額:0円
つまり、定額プランの範囲内で通信していても、従量課金の“仮の金額”が明細に表示されるのが仕様となっています。
これは「割引の根拠を明示する」「プラン変更時の比較を可能にする」など、制度的・運用的な理由によるものです。
ユーザー体験としての違和感
制度上は正しいとしても、UX(ユーザー体験)としては以下のような課題が生じます。
・「高額請求されたのでは?」という誤解を招いてしまう
・割引と請求が同額だと「意味のない表示」に見える
・実質0円なのに“請求された感”が残ってしまう
・明細が複雑すぎて、料金体系の理解が困難になる
このような表示は、ユーザーの安心感や理解を犠牲にして、制度や運用の都合を優先した設計であるといえます。
なぜ業界はこの表示を続けているのでしょうか?
通信業界がこのような表示を維持している背景には、以下のような理由があります。
・景品表示法対策:割引の根拠を明示する必要がある
・システム統一:従量課金ベースの計算を残すことで、プラン変更時の整合性を保てる
・マーケティング:割引額を強調することで「お得感」を演出できる
つまり、ユーザーの利便性よりも、制度と運用の都合が優先されているのが現状です。
表示改善の余地はあるのでしょうか?
このような料金表示を改善するためには、以下のようなアプローチが考えられます。
・仮請求額を非表示にするオプションを設ける
・「あなたの実質支払額は○○円です」と明確に表示する
・割引の根拠は別タブや注釈で表示し、明細はシンプルにする
・条件入力と連動した料金シミュレーターを活用し、納得感のある表示にする
まとめ
「388,783円 → -388,783円」という表示は、制度的には正しくても、UXとしては不親切であると感じられます。
料金表示は単なる数字ではなく、企業とユーザーの信頼をつなぐ設計であるべきです。
通信業界がこの構造をどう見直していくかは、今後の「料金透明化」や「UX信頼設計」における重要な試金石となるでしょう。
阿久梨絵でした!
