こんにちは、阿久梨絵です!
電気やガスが スマートメーター 化を進める中で、水道だけが取り残されているように見えることがあります。遠隔検針、漏水検知、高齢者の見守りなど、導入によるメリットは多いはずなのに、なぜ水道スマートメーターは普及しないのでしょうか。
その理由は、単なる技術的な問題ではなく、制度・構造・コスト・現場運用といった複数の要因が複雑に絡み合っているためです。
1. 導入コストが高すぎる
水道スマートメーターの本体価格は約23,700円で、従来型の約3,500円と比べて約7倍の価格です。さらに、通信費も年間1,400円ほどかかります。
全国には約6,000万個の水道メーターが設置されており、仮に全戸にスマートメーターを導入するとなると、数千億円規模の予算が必要になります。
水道事業は自治体が運営しているケースが多く、これだけの予算を捻出するのは現実的ではありません。
2. 水道事業の分散構造
電気や都市ガスは広域企業が運営していますが、水道は全国に1,300以上ある自治体がそれぞれ個別に運営しています。
この分散構造ではスケールメリットが働きにくく、統一的な導入が難しい状況です。
自治体ごとに財政状況や優先度が異なるため、スマートメーターの導入が進まず、全国的な普及には至っていません。
3. 古い制度が足かせになっている
水道メーターの検定有効期間は昭和19年から変わらず8年のままです。
スマートメーター(超音波式・電磁式)は摩耗が少なく、より長く使用できるはずですが、制度上は従来型と同じ扱いとなっています。
この制度が改正されない限り、スマートメーターの耐久性やコストメリットを十分に活かすことができません。
日本水道協会は有効期間の延長を何度も要望していますが、制度改革は進んでいないのが現状です。
4. 通信インフラの課題
水道メーターは屋外や地下、集合住宅のメーターボックスなど、電波が届きにくい場所に設置されることが多くあります。
LPWAなどの省電力通信技術は存在しますが、通信の安定性や電池寿命の面で課題が残っています。
また、電源供給がないため、電池駆動で10年以上持たせる必要があり、技術的にもコスト的にもハードルが高いのです。
5. 検針業務の代替手段がまだ有効
ハンディターミナルなどを使った半自動化検針が普及しており、完全なスマート化の必要性が薄いとされています。
現場では「人が訪問することで異常を発見できる」「高齢者の安否確認にもつながる」といった、アナログならではの強みも根強く残っています。
6. 普及率はわずか0.06%
令和4年度末時点でのスマート水道メーターの普及率は、全国でわずか0.06%(約3.3万台)です。
東京都や大阪市など一部の自治体では、2030年代の全戸導入を目指す計画がありますが、全国的にはまだ実証実験の段階にとどまっています。
まとめ
水道 スマートメーター は技術的には導入可能ですが、
・制度が古い
・事業体が分散している
・コストが高い
という三重苦により、全国的な普及は進みにくい状況にあります。
都市インフラの進化には、技術だけでなく、制度設計・財政構造・現場運用のリアルな接続が必要です。
水道スマートメーターの普及は、こうした“構造的な壁”をどう乗り越えるかにかかっているといえるでしょう。
阿久梨絵でした!
