こんにちは、阿久梨絵です!
新しいアプリをインストールして、初めて起動したとき。
画面にポップアップが現れます。
「 通知ON にしますか?」
「最新情報を見逃さないために、通知を許可してください」
「通知をONにすると、もっと便利に使えます」
一見、選択肢があるように見えるこの問い。
でも、ふとこんな感覚が生まれませんか?
「断ったら、何か損するかも…」
「“いいえ”を押すのが、ちょっと気まずい」
「通知ONが“正解”みたいな空気がある」
「選択肢」が“誘導”に変わる瞬間
UX設計において、「通知ONにしますか?」はユーザーの選択を尊重するように見せる設計です。
でも、その実態はこうです。
| 表現 | 意図 | ユーザーの感情 |
|---|---|---|
| 「おすすめ」ラベル付き | 通知ONを推奨 | 断ると損する気がする |
| 「通知ONで便利に」 | 利便性の強調 | プレッシャーを感じる |
| 「通知OFFは後でも変更できます」 | OFFを後回しにさせる | 今は断りづらい空気 |
つまり、「通知ON」は、選択肢のようでいて、実は“誘導”されているのです。
UXが生む“断りづらさ”の心理
人は、選択肢があるときにこう感じます。
・「多数派に従ったほうが安心」
・「推奨されているなら、そうすべき?」
・「断ると、何か悪いことが起きるかも」
これは、UXが“選択=責任”という構造を生んでしまっている瞬間。
本来は自由なはずの選択が、心理的な圧力に変わってしまうのです。
本当に“選ばせて”いるか?
UX設計において、「選択肢を提示すること」は重要です。
でも、それが“選ばせる”ではなく、“誘導する”になっているなら──
それは、使う人の自由を損なう設計かもしれません。
・「通知ONにしますか?」の文言を中立にする
・利点だけでなく、選ばない選択も尊重する
・「あとで決める」選択肢を明示する
・OFFを選んでも、罪悪感を感じさせない設計
UXとは、使いやすさだけでなく、使う人の意志に寄り添う設計。
「断ること」を許す空気をつくることは、信頼の第一歩なのです。
まとめ
「 通知ON にしますか?」という問いは、
一見するとユーザーの自由を尊重しているように見えます。
でも、その裏には“断りづらさ”という心理的な圧力が潜んでいることもあります。
UX設計において、
選ばせること=自由を与えることではありません。
本当に自由な選択とは、どちらを選んでも安心できる設計。
「通知ON」が“正解”のように見える世界ではなく、
どちらも選べる世界を、静かに設計していきたい。
阿久梨絵でした!
