閉じたいのに、遠すぎる──“×”( 閉じる )が右上にある理由

こんにちは、阿久梨絵です!
パソコンやスマホを使っていて、ウィンドウを閉じたいとき
私たちは、ほぼ無意識に「右上の×」を探します
でも、ふと立ち止まってみると、こんな違和感が浮かびます

なんで“ 閉じる ”は、こんなに遠いの?
左利きには、ちょっと不便じゃない?
そもそも、右上って誰が決めたの?

UIの歴史:右上に「×」がある理由

この配置は、Windows OSの設計思想に由来します。

・1990年代のGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)黎明期
ウィンドウの操作を「右手マウス」で行う前提
・「閉じる」「最小化」「最大化」などの操作を右上に集約

つまり、「右上に×」は、右利き中心の設計だったのです。

身体性のズレ:左利きユーザーの違和感

左利きの人にとって、右上の「×」はこう感じられることがあります。

手の動きが不自然
視線の移動が遠い
操作のたびに“右利き設計”を意識させられる

これは、身体感覚とUI設計のズレ
日常的に使っているからこそ、違和感が“静かに蓄積”されていくのです。

なぜ“閉じる”は、こんなに遠いのか?

「閉じる」という操作は、離脱・終了・遮断を意味します。
UXの観点から見ると、これには2つの設計思想が絡んでいます。

設計思想内容影響
離脱を防ぎたい閉じる操作を目立たせすぎないサービス滞在時間の延長
誤操作を防ぎたいすぐ押せない位置に配置安全性の確保(特にモバイル)

つまり、「遠さ」は、意図的な距離感でもあるのです。

閉じることは、悪いこと?

「閉じる」操作は、使う人が自分の意志で終わらせる行為
それを“遠く”に置くことは、使う人の選択を制限する設計とも言えます。

UXとは、使いやすさだけでなく、使う人の自由と感覚に寄り添う設計
「閉じる」が遠いことで、

離れづらい
終わらせづらい
自分のペースで使えない

そんな静かなストレスが生まれているかもしれません。

まとめ

「 閉じる 」ボタンが右上にあるのは、歴史的な慣習と設計思想の結果
でも、それがすべての人にとって自然な位置とは限らない

UX設計において、
「どこに置くか」は、「どう感じてほしいか」に直結します。
「閉じる」が遠いことで、使う人の意志が遠ざけられていないか──
その問いを忘れずに、身体感覚に寄り添うUIを考えていきたい。
阿久梨絵でした!

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