こんにちは、阿久梨絵です!
ChatGPTやCopilotが自然に会話するようになった今、
あえて振り返ってみたい言葉があります。
「人工知能」ではなく──「 人工無能 」。
このフレーズはAIが“賢くなかった時代”のユーモアと可能性を象徴しています。
この記事では、そんな人工無能の歴史・仕組み・意義をたどりながら、
現代の対話型AIの原型とは何だったのか?を考えてみましょう!
そもそも「人工無能」ってなに?
・「人工知能(Artificial Intelligence)」に対して作られた日本発の造語
・“意図的に賢くない”チャットボットを指す
・ユーザーの発言からキーワードを拾い、あらかじめ決めたパターンに応じて“それっぽく”返事する
・実際に“理解”しているわけではなく、知的に“見えるだけ”がポイント
あくまで「知能風のふるまい」が目的
実際は“無能”を装うことで親しみや笑いを誘っていたのです
人工無能の歴史|チャットボットのはじまり
① ELIZA(1966年)【アメリカ】
・マサチューセッツ工科大学のジョセフ・ワイゼンバウムが開発
・心理療法士風にユーザーの言葉をオウム返しするだけのプログラム
・例:「母が心配です」→「なぜあなたの母が心配なのですか?」
・ユーザーが“共感されている気分”になるという意外な効果で注目
② りんな(2015年〜)【日本】
・Microsoftが開発したLINE上の“女子高生AI”
・人工無能の延長として、等身大でちょっと抜けた会話キャラを演出
・ギャグ・共感・ツッコミなど、“あえて賢すぎない”キャラクター設計が話題に
なぜ“無能”なのに魅力的だったのか?
理由 | 補足 |
---|---|
期待値が低いからこそ、返事が面白い | 突拍子もない返答も“味”になる |
人は「意味ありげな言葉」に意味を見い出してしまう | ELIZA効果と呼ばれる心理的傾向 |
“賢く見えない”ほうが親しみやすい | 気軽に話しかけられる存在として愛された |
現代AIとの違いは?
項目 | 人工無能 | 現代のLLM型AI |
---|---|---|
仕組み | 定型文マッチング | 生成モデルによる文脈理解と言語生成 |
会話力 | ジョーク・ぼけ・繰り返し中心 | ストーリー・感情・論理を扱う自然対話 |
ユーザー体験 | “話しかける楽しさ”重視 | “一緒に考える力”を持ったアシスタント |
かつては“無能に見せる努力”が必要だった
今では“知的に見せる制御”が課題になってきたとも言えます
まとめ
人工知能が生まれる前、
人々は“ 人工無能 ”に笑い、癒され、対話の未来を夢見た
AIとの会話が当たり前になったいまだからこそ、
あの“ちょっとズレた返答”に、温かみと可能性を感じた原点を忘れたくありません。
次にAIと話すとき、
その背後にある“会話を設計してきた人々”の物語にも思いを馳せてみてくださいね。
阿久梨絵でした!