こんにちは、阿久梨絵です!
ソフトウェア開発の現場で、こんな言葉を聞いたことはありませんか?
「この機能、もう バグ ないよね?」
「リリースしても大丈夫だよね?」
一見、当たり前の確認のように思えますが、「 バグ がないことを証明する」というのは、実は“悪魔の証明”に近い行為です。
この記事では、なぜそれが難しいのか、そして現実的にどこまで対応すれば“十分”と言えるのかを、テスト設計と品質保証の観点から解説します。
1. 「バグがない」は証明できない
ソフトウェアテストの世界には、こんな原則があります。
・テストは「欠陥があること」しか示せない
・全数テストは不可能
つまり、どれだけテストをしても「バグがない」とは言い切れないのです。
これは「ツチノコがいないことを証明して」と言われるのと同じで、“存在しないこと”の証明は極めて困難です。
2. では、どこまで対応すればいいのか?
現実的には、以下のような“納得できる根拠”を積み上げることが重要です。
テスト観点の網羅性
・境界値、異常系、状態遷移、組み合わせなど、多角的な観点でテストケースを設計
・「何をテストしたか」「何をあえてテストしていないか」を明文化
リスクベースドテスト
・すべてをテストするのではなく、影響度・発生頻度の高い箇所に重点を置く
・クリティカルな機能には重点的にテスト資源を投入
バグ収束傾向の可視化
・テスト期間中のバグ発生数が減少傾向にあるか(信頼度成長曲線)を確認
・「バグが出なくなった」のではなく、「出るべきバグは出尽くした」と判断する
テストの“質”のレビュー
・テストケースの設計根拠、観点の抜け漏れ、実施状況を第三者レビュー
・「テストしたから安心」ではなく、「なぜそのテストで十分なのか」を説明できる状態に
3. 「ゼロバグ」ではなく「許容可能な品質」へ
バグがゼロであることを目指すのではなく、「残っているかもしれないバグが、業務やユーザーに与える影響が許容範囲内である」という状態を目指すべきです。
たとえば
・軽微なUI崩れ → 許容可能
・金額計算ミス → 許容不可
・ログ出力の誤り → 影響次第
このように、“品質のゴール”はプロダクトの性質やリスク許容度によって変わるのです。
まとめ
・「バグがないこと」は証明できない(悪魔の証明)
・テスト観点・リスク・バグ収束傾向など、複数の根拠で“十分”を判断
・ゼロバグではなく、ビジネス的に許容可能な品質を目指す
品質保証とは、「完璧」を目指すことではなく、「納得できる不完全さ」を設計することでもあります。
阿久梨絵でした!