こんにちは、阿久梨絵です!
テレビ、エアコン、照明、レコーダー…。
リビングに複数のリモコンが置いてあっても、不思議と「間違って別の家電が動いた」なんてこと、あまり起きませんよね。
でもよく考えるとこれ、すごくないですか?
同じ空間に複数の赤外線リモコンがあって、それぞれがちゃんと“自分の家電”だけを操作している。
今回は、そんな「 家電リモコン はなぜ混線しないのか?」という素朴な疑問を、赤外線通信・信号設計・ユーザー体験の視点から解説してみます。
赤外線リモコンは“方向性のある片道通信”
家庭のリモコンの多くは、赤外線(IR:Infrared Ray)方式を採用しています。
・目に見えない赤外線を、一定の信号パターンで“点滅”させる
・家電本体の受光部がその信号を受け取る
・リモコンと家電の間は片道通信(家電から応答はない)
この赤外線の最大の特徴は、「直進性が高い(=方向性がある)」という点。
つまり、壁や人に遮られやすく、「狙って照射しないと届かない」ようになっているのです。
これが混線しづらい第一の理由です。
混線しない最大の秘密=“信号の種類が違う”
赤外線通信では、「この信号が来たら電源オン」などの命令パターン(プロトコル)が設定されています。
そして
・各メーカーごとに異なる信号フォーマットを採用している
・さらに機種や世代ごとに固有のコマンド体系がある
・「電源ON」だけでも、テレビAとエアコンBではまったく別の信号になる
つまり、家電が“自分あての信号だけを受け入れる”よう設計されているんですね。
これによって、同じ空間で複数のリモコンが動いても、「自分の命令しか聞かない」仕組みが保たれているというわけです。
「万能リモコン」はどうして操作できるの?
逆に、学習リモコンやスマートリモコン(例:Nature Remo)はどうして複数の家電を操作できるのか?
答えはシンプル。各機器の信号パターンを記憶・エミュレートしているからです。
・赤外線信号を一度“学習”することで、同じ波長&パターンを再現
・スマホアプリなどで家電ごとのプロファイルを選んで切り替える
そのため、万能リモコンが“間違った信号”を出すと、家電側は反応しません。
結局すべて「正しい波長と信号構成が必要」というルールに従っているのです。
まれに“誤作動”が起きることもある
とはいえ、以下のようなケースでは混線や誤動作が発生することもあります。
・異なるメーカーでも信号仕様がたまたま似ていた(極めて稀)
・受光部が広角すぎて、間違って隣の家電が反応した
・スマートリモコン設定ミスで、複数家電が同時に反応した
・リモコンの赤外線が“壁に反射して”意図せぬ方向に届いた
こうした事象は例外的ですが、赤外線の特性と環境条件によって発生することがあります。
まとめ
家電リモコン が混線しないのは、偶然でも偶発的な奇跡でもありません。
・通信方向性を持たせた赤外線方式
・メーカーごとのコード体系による排他設計
・本体側で“自分宛”の信号だけを解釈する仕様
・シンプルだけど意図的な“構造の安全性”
そう思うと、日常の「あたりまえ」も、設計の美しさで成り立っているのだと感じませんか?
阿久梨絵でした!