こんにちは、阿久梨絵です!
電子申告のシーズンが近づくたび、私は毎年こう思う。
「なぜ“税”という同じカテゴリで、 e-Tax とeLTAXという“別々の手続き”が存在するのか?」
同じような名前、同じような役割。なのにIDも使い方もまったく別物──
今回はその理由と背景を、納税者目線で考察してみました。
まずはおさらい:e-TaxとeLTAXの違い
項目 | 内容 |
---|---|
e-Tax | 国税(所得税・法人税など)の電子申告システム(運営:国税庁) |
eLTAX | 地方税(住民税・固定資産税など)の電子申告システム(運営:地方税共同機構) |
ID登録 | それぞれで別に必要(統一されていない) |
UI・操作感 | システム仕様が異なるため、習熟にも時間がかかる |
つまり、「国の税」と「地方の税」で分かれているわけですが、ユーザーにとっては“全部税金”であることには変わりません。
なぜ統一されない?その背景にある“縦割り行政”
考えられる主な理由は以下の通り
1. 所管する組織が違う
・e-Taxは国税庁(財務省)、eLTAXは地方税共同機構(総務省系)。
・つまり、出発点から違う「担当者」がそれぞれのシステムを作っている。
2. システム設計・運用が別ルート
・UI/UX・証明書の扱い・サーバ設計まで、完全に別々の開発体制。
・共通化するには、制度とシステムの両方を再設計する必要がある。
3. 政治的・技術的なハードル
・統合には膨大なコストと法律改正、利害調整が必要。
・しかも現状「大きな問題になっていない」ため、優先度が上がらない。
4. “所掌”という名の見えない壁
・いわゆる“縦割り文化”によって、組織間の横断連携が進まない。
・デジタル庁が創設された今でも、これはまだ根深い課題。
利用者から見れば“不便すぎる分断”
・「1つの手続きに2つのID…毎年どっちがどっちか忘れる」
・「eLTAXの画面、未だに使いにくい…」
・「そもそも呼び名が似すぎて間違える」
こうした声はネットでも多数上がっていて、「e-TaxとeLTAX、不仲説」なるネタも存在します。
おそらく不仲ではなく、“関わりすら薄い”という方が正しいのかもしれませんが…
改善への兆しはあるのか?
・マイナポータル連携などでの統合的UIの構想はあるものの、現状はまだ点在的。
・デジタル庁や規制改革会議でもID・手続きの統一に関する提案は出ていますが、実現には至っていません。
まとめ
e-Tax とeLTAXが別々なのは、私たちユーザーが望んだ構造ではありません。
しかし、日々の業務の中で「仕方ない」と諦めてしまうことも多いのが現実です。
だからこそ、こうした「分かりづらさ」「不合理さ」に小さな疑問を持ち続けることは、とても大切なのではないでしょうか。
「1つにまとめてほしい」。
そんな当たり前の願いが通じるデジタル行政へ。
そのために、私たちも気づきを発信し続けていきたい——
阿久梨絵でした!