こんにちは、阿久梨絵です。
ショッピングモールの入口、オフィスビル、コンビニ。
誰もが1日に何度も通る“ 自動ドア ”。
でも、あれって「今開く⁉」「なぜ開かない⁉」と感じたことありませんか?
実はあの「ドアが開くタイミング」には、意外と緻密なUX設計とセンサーのアルゴリズムが隠れているんです。今日は、そんな“日常に潜むIT”を、やさしく紐解いてみましょう。
自動ドアはどうやって“人の接近”を判断している?
答えは、センサー(主に赤外線式 or マイクロ波式)です。
・赤外線センサーは、温度差や動きを感知して反応。
・マイクロ波センサーは、電波の反射パターンを分析して“動体”を捉えます。
両者をハイブリッドで使っている機種も多く、たとえば
マイクロ波で“接近”を感知
赤外線で“立ち止まっている人”を見極める
…といった複層的な判定で、「開ける」「開けない」の判断をしています。
開くかどうかを決める“距離と角度”の設計
自動ドアの多くには、「反応距離」や「感知角度」の設定があります。
・1.5〜3m程度で人が接近すると開く
・角度はドアの正面から±60度程度(左右には鈍感)
これは、誤動作防止 × 開閉タイミングの快適さのバランスによるもの。
たとえば
・路上の通行人が横切るたびにドアが開いたらストレス
・逆に、荷物を持って近づいたのに開かないのも困る
この“ギリギリ感”は、UXとして非常に難しい判断なんですね。
「動き」で判断するから、ゆっくり歩くと反応しづらい
高齢者や小さな子ども、車いすなどの移動速度に対応するには
・センサーの感知パターンを学習して反応を最適化する
・“止まっているけど開けたい”を見分けられる設計
・歩く速度に合わせて感度を自動調整する機種の採用
こういった対策が必要になります。
これが“ただの機械”ではなく、“公共空間における体験設計”なのが面白いですよね。
開くまで0.5秒遅れるだけで、UXは“モヤる”
人は予期していたよりわずかに遅いだけでも、不安やストレスを感じます。
・「あれ?開かない?」と一瞬止まる
・他人と一緒に歩いていた場合に立ち止まることになる
・無意識下の“タイミングのズレ”にモヤっとする
つまり、自動ドアとは毎日無言でUXテストをされている装置とも言えるのです。
まとめ
自動ドア は、「ただ開くだけ」ではなく
・センサーの技術選定
・移動速度や方向の検出
・誤反応を防ぐ条件設定
・心理的ストレスを感じさせないタイミング
…といった人間中心設計(HCD)の塊のような存在。
私たちは毎日、誰かが細部まで考えてくれた“快適さの仕掛け”の中を生きているのかもしれません。
阿久梨絵でした!