こんにちは、阿久梨絵です。
メール の最後に、つい添えてしまうこの一文
「よろしくお願いします。」
でも、ふと立ち止まって考えてみると…
・何をお願いしてるの?
・どこまでが“よろしく”の範囲?
・そもそも、これって必要?
今回は、日本語の「よろしくお願いします」という表現の意味と曖昧さ、
そして他言語との比較から見える“文化の違い”について考えてみます。
「よろしくお願いします」は、意味が“ない”のに“ある”
形式的だけど、書かないと失礼
・ビジネスメールでも、プライベートでも、最後に入れないと「冷たい」と思われがち
・でも、具体的に何をお願いしているかは書かれていない
「お願い」よりも「関係性の維持」が目的
・実はこの言葉、依頼の内容よりも“関係性の潤滑油”として使われている
・「これからも仲良くしましょうね」「ご協力感謝します」のような含みを持たせた表現
ルーツは“よろしい”=「悪くない」から
「よろしく」はもともと「よろしい(=良い)」の連用形。
つまり、「良いようにお願いします」「悪くしないでね」という控えめな依頼のニュアンスが込められています。
本来は「相手に任せる」「うまくやってね」という“信頼”の表現でもある
他言語ではどう訳す?──英語との比較
英語には「よろしくお願いします」に完全に対応する表現は存在しません。
そのため、状況に応じて言い換える必要があります。
日本語の「よろしく」 | 英語での言い換え例 | ニュアンス |
---|---|---|
ご確認よろしくお願いします | Please check it. / Thank you for your attention. | 依頼+感謝 |
今後ともよろしくお願いします | I look forward to working with you. | 関係継続の期待 |
ご協力よろしくお願いします | Thank you for your cooperation. | 感謝+依頼 |
何卒よろしくお願いいたします | Your kind support would be appreciated. | 丁寧なお願い |
英語では「何を」「なぜ」お願いしているかを明示するのが基本
日本語のような“空気で伝える”文化とは対照的です。
じゃあ、どうすればいいの?
本当に伝えたいことがあるなら、具体的に書こう
・「ご確認よろしくお願いします」→「〇〇の点をご確認いただき、ご意見をいただけますと幸いです」
・「今後ともよろしくお願いします」→「今後もご一緒できることを楽しみにしております」
それでも「よろしく」は、やっぱり便利
・書かないと角が立つ
・書いておけば“丁寧に締めた感”が出る
・だからこそ、意味を意識して使うと文章が一段上がる
まとめ
メール の最後の「よろしくお願いします」は、日本語の“あいまいさ”と“気遣い”が凝縮された表現です。
・意味がはっきりしないのに、伝わる
・伝わるのに、翻訳できない
・でも、書かないと“冷たい”と感じられる
そんな不思議な言葉だからこそ、「なにをお願いしているのか?」を意識するだけで、文章の伝わり方が変わります。
阿久梨絵でした!