コンビニ の“年齢・性別ボタン”はどこへ消えた?——消えた客層データとセルフレジの現在地

こんにちは、阿久梨絵です。
かつて コンビニ のレジには、こんなボタンが並んでいたのを覚えていますか?

男性・29歳以下
女性・50歳以上」……

そう、店員が購入者の性別と年齢層を“見た目で推定して押す”「客層ボタン」です。
今ではすっかり見かけなくなりましたが、あのボタンは一体どこへ消えたのでしょうか?

客層ボタンとは何だったのか?

客層ボタンは、POS(販売時点情報管理)システムの一部として、
どの年代・性別の人が、どんな商品を買ったか」を記録するために使われていました。

目的:仕入れ・販促・商品開発の参考データ
方法店員が見た目で判断してボタンを押す(例:男性・29歳以下)

つまり、“誰が何を買ったか”をざっくり把握するためのアナログなマーケティング手法だったのです。

なぜ消えた?——3つの背景

① プライバシー意識の高まり

見た目で年齢や性別を判断されるのは不快」という声が増え、“推定”による属性入力が時代に合わなくなった

② セルフレジの普及

セルフレジでは客層ボタンを押す人がいないため、
そもそも入力できない=データが取れないという構造的な変化。

③ より正確なデータ取得手段の登場

アプリやポイントカードによる属性データ
購買履歴やスマホ決済による個別トラッキング
顔認証やAIカメラによる属性推定(実証段階)

じゃあ、セルフレジのカメラで年齢や性別をチェックしてるの?

→→→いいえ、していません。

セルフレジに設置されているカメラは、基本的に以下の目的です。

不正防止(スキャン漏れ・万引き)
操作ミスの記録・トラブル対応
“見られている”という心理的抑止効果

つまり、年齢や性別をAIで推定して記録するような機能は、一般的なセルフレジには搭載されていません

一部の無人店舗や実証実験では、顔認証や属性推定を活用した年齢確認システムもありますが、100均やコンビニの通常店舗では導入されていないのが現状です。

“見た目で判断する”ことへの違和感——ルッキズムの視点から

客層ボタンが消えた背景には、ルッキズム(外見至上主義)への社会的な批判も見逃せません。

ルッキズムとは、外見によって人を評価・分類し、それが差別や偏見につながる考え方のこと。
「若く見えるから20代」「服装が地味だから中高年」など、見た目だけで年齢や性別を推定する行為は、無意識のうちに人を枠にはめてしまう危うさを含んでいます。

実際、SNSやメディアの影響で外見への意識が過剰になり、「見た目で判断されることへの不快感」や「自分らしさを否定される感覚」を抱く人も増えています。

客層ボタンは、そうした“見た目による即断”を日常的に行う仕組みだったとも言えます。
たとえ善意や業務上の目的であっても、外見で属性を決めつけること自体が、
現代の価値観とはズレ始めていたのかもしれません。

まとめ

時代属性取得の方法特徴
昔(〜2010年代)客層ボタン(見た目で推定アナログ・主観的・即時性あり
現在アプリ・購買履歴・決済情報精度高・自動化・プライバシー配慮
一部実験中顔認証・AIカメラ実証段階・倫理的課題あり

次にセルフレジの前に立ったとき、
昔は“見た目で年齢を押してた”時代があったんだな」と思い出してみてください。
技術の進化と社会の価値観の変化が、レジのボタンひとつにも表れているのです。
阿久梨絵でした!

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