こんにちは、阿久梨絵です。
私たちは日々、ニュースやSNSを通じてさまざまな情報に触れています。
たとえば、こんな表現――
「60代男性が逮捕されました」
「20代女性が被害に遭いました」
一見、客観的な事実を伝えているように見えますが、年齢や性別だけで語られる人物像は、私たちの中に“ ステレオタイプ (固定観念)”を植え付けていないでしょうか?
この記事では、報道表現がどのようにしてステレオタイプを再生産しているのか、そしてそれが私たちの認知や社会にどんな影響を与えているのかを、メディアリテラシーとエイジズムの視点から掘り下げていきます。
無意識に補完される「人物像」
「60代男性」と聞いて、どんな人を思い浮かべますか?
・無職?頑固?孤独?
・それとも、管理職?定年退職者?
・家族持ち?一人暮らし?
実際には何もわからないはずなのに、私たちは“それっぽい人物像”を頭の中で自動生成してしまう。
これは心理学でいう「ステレオタイプ」――限られた情報から、過去の印象や社会的な刷り込みをもとに判断してしまう思考のクセです。
メディアが“型”をつくる
報道では匿名性を保つために「年齢+性別」で人物を表すことが多くあります。
しかしそれが繰り返されることで、「60代男性=加害者」「20代女性=被害者」といった固定的なイメージが社会に定着していきます。
これは、単なる情報伝達ではなく、ステレオタイプの再生産に加担しているとも言えるのです。
ステレオタイプは偏見の温床になる
「高齢者は頑固」「若者は無責任」
「男性は攻撃的」「女性はか弱い」
こうした属性ベースの思い込みは、年齢差別(エイジズム)やジェンダーバイアスにつながります。
報道の言葉が、知らず知らずのうちにこうした偏見を強化しているとしたら――
それは、私たち自身の“ものの見方”にも影響を与えているかもしれません。
メディアリテラシーで“見えない前提”を疑う
情報を受け取るとき、私たちは「何が書かれているか」だけでなく、
「なぜそう書かれているのか」「何が書かれていないのか」も意識する必要があります。
たとえば
・「60代男性」ではなく「地域の住民で元教員の男性(60代)」と表現できないか?
・そもそも、年齢や性別を記載する必要があるのか?
こうした問いかけが、ステレオタイプの連鎖を断ち切る第一歩になります。
まとめ
・年齢や性別だけで人を語ることは、無意識のラベリングにつながる
・報道の言葉は、私たちの中に ステレオタイプ を育ててしまうことがある
・情報を受け取る私たちも、「その人はどんな人か?」という視点を持ち続けたい
「60代男性」という言葉の裏に、顔も声も人生もある。
そのことを、もっと想像できる社会でありたい。
阿久梨絵でした。