こんにちは、阿久梨絵です!
プロジェクトを進めるうえで、本来注力すべき重要な課題ではなく、どうでもいい細かいことに時間を費やしてしまう現象があります。
これを「Bike-Shedding( 自転車置き場論 )」と呼びます。
例えば、新規サービスの開発会議で…
・ロゴの色には1時間以上の議論があるのに、システムの設計には10分しか使われない
・プロダクトの方向性よりも、社内ツールのアイコンデザインに過剰な関心が向く
・予算計画や市場調査よりも、パワーポイントのフォントを選ぶことに熱が入る
こうした現象は、一見すると活発な議論に見えますが、実は本質的な意思決定を避けていることが多く、結果としてプロジェクトの停滞を招きます。
本記事では、「Bike-Shedding」の原因、なぜ人は些細な議論に固執するのか、そしてその対策について解説します。
「Bike-Shedding(自転車置き場論)」とは?
この用語は、イギリスの作家 C. Northcote Parkinson が提唱した概念に由来します。
彼の著書『Parkinson’s Law』の中で、以下のような例が紹介されています。
「原子力発電所を建設する委員会は、建設計画にはほとんど時間をかけず、敷地内の自転車置き場の色に長時間を費やしていた」
これは、人々が理解しやすく、意見を言いやすい簡単なテーマに集中することで、本質的な問題を避けてしまう現象を表しています。
発電所の設計は専門的で難しいため、議論が少なく、自転車置き場という誰でも口を出せる話題に関心が偏る、というわけです。
なぜ「Bike-Shedding」に陥るのか?
このような現象が起こる理由は、主に3つに分類できます。
① 簡単なテーマの方が議論しやすい
人は、自分が理解できることに対して意見を持ちたがります。
ロゴの色やフォントなら誰でも語れるため、「議論に参加できる」という安心感が生まれます。
② 本質的な問題を避けてしまう
ビジネス戦略や技術的課題は難しく、決定には深い知識が必要です。
そのため、人はつい「扱いやすい議題」に意識を向けてしまいがち。
③ 誰もが意見を持つ「民主化の罠」
些細な話題ほど、関わる人が多くなり、決定に時間がかかります。
結果的に、「誰でも口を出せること」が重要な意思決定より優先されてしまいます。
Bike-Sheddingを防ぐための対策
プロジェクトを本質的な方向に進めるためには、以下の対策が有効です。
意思決定の優先順位を明確にする
「決めるべき重要事項」と「些末な議題」を整理し、会議では前者を優先する。
議論の時間制限を設ける
ロゴの色に1時間も使うのは無駄。「この話題は10分で決める」とルールを作る。
専門家の意見を尊重する
フォントやデザインはデザイナーに、技術仕様はエンジニアに任せるなど、適切な意思決定者を設定する。
「本当にこの議論が必要か?」と問い直す
些細なテーマで長時間の議論になった際、「この話題、重要課題の時間を奪っていないか?」と冷静に確認する習慣をつける。
まとめ
「Bike-Shedding( 自転車置き場論 )」は、本質的な課題ではなく、些細なことばかりに議論が集中してしまう現象を指します。
この状態に陥ると、プロジェクトは停滞し、重要な意思決定が後回しになってしまいます。
成功するプロジェクト運営には、「本質的な議論にフォーカスする」意識と、適切な意思決定の仕組みが欠かせません。
次回会議で「この議論、本当に必要か?」と意識することで、より生産的なチーム運営が実現できるでしょう!
阿久梨絵でした!