オブジェクト指向 COBOL :新しい技術と古い遺産の融合

こんにちは、阿久梨絵です!
COBOL (Common Business-Oriented Language)は、ビジネスデータ処理のために1959年に開発された言語で、多くの企業で依然として利用されています。今回の記事では、オブジェクト指向 COBOL の概要、遺産の移行の可能性、利用できる環境について詳しく解説します。

オブジェクト指向 COBOL の概要

進化の背景

COBOL は、長年にわたり手続き型言語として広く使用されてきましたが、1990年代以降、オブジェクト指向プログラミング(OOP)の人気が高まる中で、 COBOL にもオブジェクト指向の要素が導入されました。特に、ISO COBOL 2002標準では、オブジェクト指向の概念が正式に取り入れられました。

主な特徴

クラスとインスタンス:オブジェクト指向 COBOL では、クラスとインスタンスの概念がサポートされています。これにより、データとその操作を一つのエンティティにまとめることができます。

継承クラスの継承をサポートしており、既存のクラスを基に新しいクラスを作成することができます。

ポリモーフィズム:同じメソッド名で異なる機能を実行するポリモーフィズムが利用可能です。

遺産の移行

移行の利点

コードの再利用既存の COBOL コードをオブジェクト指向に移行することで、長年にわたって積み上げられた資産を有効活用できます。

保守性の向上:オブジェクト指向の概念を取り入れることで、コードの保守性が向上し、変更や拡張が容易になります。

新技術との統合:オブジェクト指向 COBOL を使用することで、他のオブジェクト指向言語やフレームワークとの統合が容易になります。

移行の手順

現行コードの解析既存の COBOL コードを解析し、クラスやインスタンスに分けられる部分を特定します。

クラス設計解析結果に基づいて、新たなクラス設計を行います。データとメソッドを適切に分割し、継承関係を定義します。

コード変換既存の COBOL コードを新しいクラス設計に基づいて変換します。この際、手続き型からオブジェクト指向への変換を行います。

テストと検証:変換後のコードをテストし、正確に動作することを確認します。テストが完了したら、実稼働環境に移行します。

オブジェクト指向 COBOL の利用環境

コンパイラと開発環境

IBM COBOLIBMのメインフレーム環境で利用されており、オブジェクト指向の拡張がサポートされています。

Micro Focus Visual COBOLWindowsやLinux環境で利用できる COBOL コンパイラで、オブジェクト指向 COBOL がサポートされています。

Gnu COBOLオープンソースの COBOL コンパイラで、オブジェクト指向 COBOL の一部機能がサポートされています。

開発ツール

Visual StudioMicro Focus Visual COBOL と連携して使用できる統合開発環境(IDE)で、オブジェクト指向 COBOL の開発が可能です。

EclipseEclipse IDEにも COBOL プラグインを追加することで、オブジェクト指向 COBOL の開発が可能です。

まとめ

オブジェクト指向 COBOL は、従来の手続き型 COBOL にオブジェクト指向の概念を取り入れた進化形です。既存の COBOL 資産を有効活用しつつ、保守性の向上や新技術との統合が可能となります。IBM COBOL やMicro Focus Visual COBOL などのコンパイラを利用することで、オブジェクト指向 COBOL の開発が可能です。この記事が、オブジェクト指向 COBOL についての理解を深める一助となれば幸いです。
阿久梨絵でした!

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